act.30 ページ31
私をじっと見ては、今度は話題を変えるように机に置かれた宮舘さんが持ってきた箱に目線を向けた。
気を使わせてしまったみたいで申し訳ない。
「康二から甘い物が好きだと聞いて。
口に合えばいいんですけど」
なるほど。
私が甘い物が好きなんて何処で言ったけと思ったけれど、確かに、彼には何度か話したことがある。
『甘い物ですか、ありがとうございます。
頭使うと無性に食べたくなるんですよね。
開けていいですか？』
「勿論」
開けていいかと聞けば、嬉しそうに笑う宮舘さん。
早まっていく鼓動を無視しながら、箱を開ける。
綺麗なきつね色が見えたと思えば、四角い形でふんわりと焼きあがった感じのフィナンシェが顔をのぞかせた。
『フィナンシェ......！』
洋菓子の中でも私が好きなお菓子だ。
マカロンとかだと食べれないところだったけど、まさか好きなやつを買って来てくれるなんて思いもしなかった。
「喜んで貰えたならよかった」
『フィナンシェ、凄く好きなんです！』
とても美味しそうな大好物に今までで1番テンションが上がってしまう。
舘様の前で子どもぽい気もするけれど、好物が目の前にあるのだから許して欲しい。
「よかったら召し上がってください」
『それなら、宮舘さんも御一緒に』
「僕のことは気にしないでください」
『いえ、せっかく美味しそうなフィナンシェですから。
それに、一緒に食べた方がより美味しいですし！』
機嫌のいい私はせっかく美味しそうなフィナンシェだから舘様にもぜひ食べて欲しいと珍しく押し切る。
私は部屋に備え付けられた小さなキッチンに行って電気ポットに水を入れて沸かす。
「なら.....、僕にも手伝わせてください」
『宮舘さんはお客さんですし、それに。
これのお礼だと言うことで』
そう告げても、困った顔をする宮舘さん。
彼のことなので、座っていてくれと言われても聞いてくれ無さそうだし.....。
仕方なく、食器棚から取り出してもらうようお願いします。
『うーん、それならあちらの食器棚からティーカップを2つとお皿を二皿と、フォークをお願いします。
一度水洗いしておきたいので』
「わかりました」
お願いすると宮舘さんは満足そうに食器棚に向かって行ってくれる。
尽くしたいタイプっていうだけあるなあ......。
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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (
レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時：2021年1月13日 5時
