act.21 ページ22
駅の改札が見えれば、時刻表に私が乗る電車がもうすぐ来るということがわかる。
別に、普段なら乗り遅れても気にしはしないけど。
今回は早く、舘さんの目の前から消えてしまいたい。
『電車.....もうすぐ来るみたいなので、
私、行きますね？』
一声を掛けてから、改札を潜ろうと定期ケースを持ち上げようとすれば、突然舘さんに腕を掴まれた。
『宮舘さん......？』
どうしたと言うのか。
今日の舘さんはなんだか変な気がする。
私は早くこの場から消えてしまいたいのに。
少しの間、舘さんも何を言えばいいのか決まってなかったのだろうか。
口を開けたり、閉じたりを繰り返していたけれど、意を決したように顔を上げた。
「......勘違いじゃない、と言ったらどうしますか？」
「......え？」
とても真剣な眼差しで、真面目な声で舘さんはそう言った。
それはどういう意味なのか。
私が聞こうと口を開こうとした時には舘さんはもう腕を離していた。
「もうすぐ電車、来ますよ」
「えっ......!?」
まだ私は何も言っていない。
勘違いじゃないってどういうことだと口にしようとすれば、大音量で電車のアナウンスが響き渡る。
「また、誘いますね。
Aさん」
私に少し困ったような笑みを浮かべて私の名前をハッキリと呼んでは舘さんは背を向けて歩き出してしまった。
『まっ待ってください！
それってどういう...！』
呼び止めても、宮舘さんは止まることはなく手だけ小さく振り返してくれたかと思えば、
そのまま人混みに紛れて、見えなくなってしまった。
『勘違いじゃないって何......？』
なんでそんな思わせぶりな事を言うの......？
たった数回しか会ったことない私をどうしたいの......。
自分の中で問いかけても答えが返ってくることはない。
そう、理解しながらも自問自答せずにはいられなかった。
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Beniimo0208(プロフ) - >みなみ様 コメント及びご指摘ありがとうございます。こちらの確認不足でしたので、修正させて頂きました。今後も見守っていただきますと嬉しく思います。 (2021年1月17日 15時) (
レス) id: 7085968988 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 続きが、気になります。27話が、抜けてます。 (2021年1月17日 10時) (レス) id: 34a5132cfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅芋里芋薩摩芋 | 作成日時：2021年1月13日 5時
