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38(F) ページ18

二人の会話は聞きたくない。
それでもとくにBGMなどない楽屋では、呼吸まで聞こえる気がするほどで。

俺たちには見せない北山の雰囲気。
意図して態度を変えているわけじゃないのはわかる。

つまり、自然なんだ。

俺たちの前にいる北山も自然で。
でも、大倉君を見上げる顔も、北山にとっては自然で。

俺は北山の全部がほしくて
そんな気もない大倉君にどうしようもない嫉妬をして持て余してたんだ。

両手を組んでグッと力を入れる。

大倉君が後にした部屋はまた俺たち二人の空間になった。
まだ誰も来ない。

落ち着こう。彼らのいつもの雰囲気にざわついてる場合じゃない。
これからリハだ。

逆立った心を落ち着かせたい。自分の空間を作りたくて、
バッグからアトマイザーを出して、匂うほどふりかけた。

目を閉じ、ふかくながく呼吸をして、早くなりそうな鼓動を落ち着かせた。
いつもの頭痛が一瞬だけよぎったが遠のいたとき、


「おい、藤ヶ谷。やりすぎだろ」


話しかけられると思ってなくて顔を上げると
迷惑そうに鼻を抑えていた。

その態度にカッとなった。

確かにどう考えてもやりすぎた。
わかってる。けど、非難されるなんて思ってなかった。

目があったのは一瞬ですぐにそらされた。
俺は立ち上がって北山に近づくと、気配に驚いたように見上げてくる。

手は、鼻を抑えたまま。

「・・・なんだよ」

まともに交わした会話、になるのだろうか。

二人だけで、こんな硬い言葉を言い合う俺たちは、
一か月前でもなかった。

記憶を失う前。

会話などなかったから。

そうしたのは俺か? お前か?

不安げに揺れる瞳は、俺が見たかったものじゃないのに。

今俺のことを忘れてるのは、北山なんじゃないか。

じゃあ、思い出せよ。お前だって。

俺は北山の首元に、俺のにおいを振りかけた。

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仙花(プロフ) - yikumiさん» こんばんは!ちょっと一気に書ききれなそうでして、あと今日はいろいろあってw 目標は今年中に・・・と思ってます;; (9月17日 23時) (レス) id: ed936de415 (このIDを非表示/違反報告)
yikumi(プロフ) - 仙花さん、今晩は。更新を楽しみにしておりました。藤ヶ谷さんのところに北山さんが現れて、どうなるのでしょうか。気になっています。記憶が継続しているところも失っていた時も藤ヶ谷さんである事には変わりはないのですが…。複雑に想いが絡み合っていて切ないです。 (9月16日 22時) (レス) id: b2d5f85776 (このIDを非表示/違反報告)
仙花(プロフ) - SIZUKUさん» 見失いがちでなかなか内容が進まなくてすみません;;もっと前後をきちんと考えてから書けばいいんですけど、ついその場で書いちゃうので見失いがちですけど、なんとかしたいとは思ってます;; (9月7日 22時) (レス) id: de459dc7d4 (このIDを非表示/違反報告)
SIZUKU(プロフ) - 仙花さーーん!始めの始めからまた読み直して時差ありです笑 更新ありがとうございます。嬉しいです。でも仙花さんには苦しいのかな?笑っちゃうお話ではないですもんね。でも、好きです。ずっと読みたかった。ゆっくりで構いません。更新ずっとお待ちします。 (9月6日 23時) (レス) id: a2eddefbd9 (このIDを非表示/違反報告)
仙花(プロフ) - 蜜柑さん» お久しぶりです、長い間手つかずですみませんでした;;見失いがちですが、なんとか書いていきます! (9月6日 22時) (レス) id: de459dc7d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仙花 | 作成日時:2017年10月14日 12時

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