アイツの背中 １２

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私に気付いたくせに、忠義、

「先に行っといて」

口パクして。

チャペルとは反対方向のエレベーターの方へ歩いてく。


どうしたんだ、一体。


忠義って、ヤスくんといると、

３０なのに、
いまだ大学生みたいになる。


そういう少年ぽさもまあ、
きゅんとなる要素の一つではあるんだけど。


なんでお部屋に戻ったのか？

二人で一体全体何するんだろ。

不思議。







チャペルの扉の前。

忠義が駆けて来る。


はあ。

遠くから見ると、また違うかっこ良さが。

ため息出そう。


「こちらです」

係員の人に従って、中へ。



参列者は家族と私たちと桃子ちゃんだけ。


ヤスくんのお父さんが、
あまりにも社長とヤスくんに似てるから、
ついつい見比べちゃった。


「本物のおとんは、
Aのお父さんよりさらに似てるな」


忠義が耳打ちしてくる。


「当たり前でしょ」

しぃってする。


まるで、三つ子だ。



桃子ちゃんが、

「社長の未来が見えた」

おっきな声で言うもんだから。

思わず、桃子ちゃんにも、

「しぃっ」

人差し指を立てる。


桃子ちゃん、笑いをこらえるのに必死で。

私のことなんか見てない。


この子って、ほんと、いろいろ凄い。



綾子さんのお兄さんも、
奥様とお子さんと一緒にちゃんと列席してくれてる。

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