アイツの背中

３９ ページ39

いつもはチームで動くのに、
今回は、オークラ一人でやりたいみたいなんだ。


最終的にはもちろんミーティングして、
みんなの意見も反映するんだろうけど。


この仕事にかける気合を感じる。


「うん。まあ。
朝からやってたおかげで、
納得いく形になってきたわ」


海斗が、たとたと走って、
オークラに近寄ってく。


オークラのそばにいると、
余計に小さく見える。


「お兄ちゃん、Aちゃんのパパ？
何歳？
Aちゃんは２８ちゃいよ」


海斗ってば、いきなり、なんてこと聞くんだ。

顔から火が出そう。


「パパ？
それはさすがにないな。
お兄ちゃんは、忠義言うねん。
Aちゃんとは同い年やからな。
パパにはなられへん」


丁寧に答えてあげてるけど、違うんだよなあ。


海斗の言うパパは、
旦那さんて意味で・・・


それより、
オークラ、
子供にはこんな風に甘ったるいキャラメルみたいな声で話すんだ。


「でも、海斗のパパとママは両方、
３３ちゃいよ」


オークラが一瞬、ん？て顔したけど。


「パパって旦那さんのことか。
そっか。
めっちゃ可愛いなあ。
海斗やった？
カッコええ名前やなあ」


オークラのこんな一面、初めて見る。


子供といるとこなんて見るわけないから、
当たり前か。


すっごい子供好きじゃん。


意外過ぎて、ギャップにくらくらする。

４０→←３８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す