アイツの背中

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なんでそんなに目立つんだよ。


「べっ、別に隠れてなんか」


「思いっきり隠れてたやん。
おもろいヤツ」


それから、私のこと、ちゃんと見て。

一瞬固まってる。


やっぱ変なのかな。


似合ってる気が全くしない。


落ち着かないから、パンツスーツか、
ジーンズに着替えたいぐらいだ。


オークラ、じろじろ見たくせに、
何にも言ってくれないし。


いやいや。

彼氏じゃないんだから、
部下の服装にいちいちコメントしたら、
セクハラだわ。


そう思い直したとこに。


「びっくりした。
そういうカッコするねんな」


いきなり、ぼそって、
ちょっと視線そらせて言うから。


なんか余計に居心地が悪くなった。


肩のリボンも、
ノースリーブなのも、
ほんと、恥ずかしい。


「どうせ似合わないって言いたいんでしょ」


帰りたくなってきた。


せめて、ヤスくん、早く来ないかな。


「そんな事、言うてへんやん」


オークラ、一応、否定してはくれた。


それから続けて。


「意外で可愛い」


早口に言うから。

心臓がはねあがる。


オークラが、可愛いって言葉、
普段から割と当たり前に使うのは知ってる。


でも、やっぱり嬉しい。


通り過ぎるOL風の女の人が、
羨望の目で私を見てる。


オークラは全くその視線には気付いてない。


「おーい！」


遠くからヤスくんの呼ぶ声がした。

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