アイツの背中

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オークラだって、あの後、どうしたの？


婚約者の綾子さんとバーにでも行ってたんじゃないの？


聞きたいけど、聞けない。


二人きりの休日のオフィスなのに、
えろい雰囲気は皆無。


「恋愛なんかいらん言うてたくせに、
ヤスのこと気に入ったん？」


オークラがぼそっと聞いてくる。


「まだ分からない。
会ったばっかだし。
いい人だとは思うけど」


そう答えたら、


「毎回誰かと出会うたび、
いい人言うてるだけやな。
恋愛不感症のお前が恋したら、
天変地異やな」


またど失礼宣言。


悔しいぃ。

歯ぎしりしそう。


「自分だって、彼女なんていないじゃん。
あ、婚約者はいるんだっけ」


綾子さんの話なんて、聞きたくないのに、
自分から振ってしまった。

あの人、、むちゃくちゃ美人で、
おまけに上品だったな・・・


それに、
オークラ、
社長から本社に戻れって言われてたのも、
思い出して。

泣きそう。


こんな風に口喧嘩してるだけでも、
私は幸せだったのにな・・・


しんみりしてるとこに。


「俺はお前と違って、
好きな女ぐらいおるわ」


オークラのとどめうちにあって、

あんまりの打撃に脳天がくらくらして、
倒れるかと思った。


なんですと？


オークラに好きな女。

好きな、女。


「なんで付き合わないの？」


声が不覚にも震える。


まだ出会ったばっかとか？


「そんなん決まってるやろ。
相手が俺を好きとちゃうからや」

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