【ヒロアカ】【轟焦凍】『弱個性』演じて何が悪い 3

笑顔の意味 ページ39

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緑谷side






「なんだ、ここにいたんだ」





声がして 顔を上げる。

絹のような艶やかな髪を揺らして走ってきたのは、轟さんだった。




ヒーロースーツを身に纏う時とは違って、いつもの『無表情』に戻っていた。







「急にどっか行くから、心配した」





「……うん。ごめん」



「隣…いい？」



「あっ、いいよ」





ゆっくりと、ベンチの空いたスペースに座った彼女。


沈黙が続く。でも、それは心地の悪いものではなかった。






「……轟さんは、ヒーローとしている時ってなんで笑っているの？」





「…当たり前だから？」




「普段はあまり笑わないのに、ヒーロースーツを着て街に出た時、君はずっと笑っている。

それって、どういう意味なの」






また 沈黙が続いた。






「…あ、あの！やっぱりいいよ。

ごめん、変なこと聞いちゃった」





「別に変なことじゃないよ。そう思うのが普通だし」





そう言って僕の目を見つめた彼女。


轟くんと同じ目の色をしているが、何かが彼と違っているように見えた。






「ずっと笑ってると、疲れちゃうから。
ただ それだけだよ。


……って。君の聞きたいことは、これとは別なんでしょ？
なんで遠回しに質問しようとするのさ」





「えっ」





「エリちゃんと出会った時、普段笑わない私が笑ったのが、変に思えたんでしょ？

私は何も分かっていない。何も感じていないって」




図星。

言い返す言葉も見つからず、黙って俯く。





エリちゃんに出会った瞬間に笑顔を見せた彼女の気持ちが分からなかった。


僕はエリちゃんを助けようとする気持ちでいっぱいだったのに、轟さんは笑うことのできるくらい余裕を持っている。


そう、思ってしまった。








「正直言って、イライラしたよ。
あのペストマスクみたいなものをつけた男に。


様子から見て、あいつ エリちゃんのことを利用しているんだよね。

何思っているか分からないけど、自分の野望の為に子供を振り回すなんて」





どっかのクソ親父を思い出すよ、と轟さんは付け足した。







(続く↓)

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