其之少女は ページ1
太宰から指定された場所に近づくと、銃声が聞こえる。
月が雲に隠れ、辺りが暗くなる。
更に近づき、聞き耳を立てる。
「−−−−−−」
「−−−−−−−−」
何かを話しているのは判る。
だが、話してる内容が全く聞こえない。
ビルの上だし、判りきった事だが。
「はぁ…」
思わずため息がでる。
その直後、ビルの屋上に出る扉が開く音がし、一人の足音が近づいてくる。
「やあやあ中也!!ため息とはどうしたンだい?」
「うッわ…」
どうやら、俺のため息は青鯖が近づいたから出たものらしい…?
流石に任務中なので喧嘩はしない。
取り敢えず俺は表情をゆがめた。
「まだ其処に例の少女はいるの?」
「嗚呼」
「じゃあ行くとしよう…中也、異能」
なんで此奴なンかに…と思い乍も太宰に対して異能を発動させた。
勿論俺自身にも発動させ、ビルの壁を歩いていく。
地上に降り立つと、十数回の銃声と、ゴトリ、と云う銃の転がる音が聞こえた。
どうやら敵組織の奴らは死んだらしい。
隣を見ると、先程迄いたはずの太宰がいなかった。
作戦の要、始動だな、と心の中で頷く。
やっと月灯りに照らされたところで、俺は物陰から少女の様子を窺う。
地面に転がった屍と屍の数分ある銃を見下ろしていた。
姿はまだよくわからないが。
少女はまだ此方に気づいていないようだ。
俺は姿を現さぬ儘、話しかけた。
「手前、異能者か?」
「……そう、…貴方は誰?」
少し間をあけて質問と共に答えが返ってくる。
「ポートマフィアの者だ。首領の命で勧誘しに来た。
単刀直入に聞く、マフィアに入る気はないか?」
大事を持って名前は伏せた。
一応。←
「ポートマフィア…?」
ぽかんとしているようだ。どうやらポートマフィアを知らないらしい。
説明の仕方に困るな…
「きゃッ」
可愛らしい、短い悲鳴が上がる。
太宰が少女の眼を手で覆う。作戦通りに進んだ。
「太宰…まあまあいいタイミングだ、一寸助かッた」
そう云い乍、少女の方に姿を現し、――少女からは太宰に目隠しされてるから見えないが――
少女の姿を見た。
書類で見たあの不鮮明な写真より、子供ッぽく見えた。
よくこンな小せェのに殺人ができるな。
やッぱ苦労してるンだろうな…
考え事をしている間に太宰は少女を薬で眠らせた。
意外とあっさりいったもンだな…としみじみ思い乍、太宰と少女と共に本部に戻った。
続く (更新停止中)
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作成日時：2019年8月23日 3時
