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「タムちゃ、ん...?」


「へ?」



しばらくそこにいても体の中の大切ななにかは壊れて無くなって、ぽっかりと空洞が空いたまま埋められない。


そんなただ涙を流し茫然としている私を懐かしい声が呼んだ。




見上げると、そこには七年前よりも大人の余裕を醸し出す笹田さんがいた。



黒髪は綺麗にワックスで整えられていて、前みたいなゆるい服装じゃなくてスーツを着こなしている。




「さ、さだ、さん?」



「どうしたの?こんなところで、何かあった?え、いつからここに?」


「えっ、と」


「待って、聞きたいこと多すぎる。」



ちょっとそこのカフェ入ろうか。



そう言った彼は私に手を差し出し立たせてくれる。


走って泣いて、もうフラフラの私は笹田さんにつかまるかのようにして立ち上がった。




「行けそう?」


「はい、ありが、とうごさいます。」


「ん。」






駅前のサンマルクカフェ。


カップルや仕事を終えた人達で賑わうそこの一番奥の席。


ちゃんと外からも、他の人からもあまり目につかないような所を笹田さんは選んでくれた。





「久しぶりだね。綺麗になった。」


「そう、ですかね?」



ようやくまともに話せるようになってきた私もそれっぽく会話に合わせる。



「でも後ろ姿とかは、変わんないね。すぐ分かったよ。」


「笹田さんも、すごく大人って感じです。」


「なにそれ嬉しい笑」




笹田さんはコーヒー、私は紅茶をカフェラテを頼んだ。


なにも入っていない黒いコーヒーを、苦い顔ひとつせず飲む笹田さんはやっぱり私よりもはるかに大人らしく見えた。



「泣いてた理由って、さ...もしかしてしげ?」



「え?」



「キャンドルカフェ、行ったりした?」




なんで分かるの?




「...やっぱりね。」



私の顔で、そうだという事が分かったのだろう。


笹田さんは深く息をつき、私に悲しい顔をした。





「タムちゃん。しげがね、覚えていないのにはちゃんと理由があるんだよ。」



今から話すしげの七年間の話聞いてくれる?





...理由?


あるとしたら、知りたい。


彼のことなら、なんでも知りたい。




「聞きたい、です。」



ほぼ即答だった。


私は彼のことになると冷静さとか、そういうが欠けてしまう。



そんな私に優しく微笑みかけた笹田さん。




日は傾き始め、窓際の席からオレンジの光が差し込む。



彼の口から、私が知らなかった、知れなかった彼の過去が少しずつ私に話された。

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ゆの(プロフ) - 今日ツイッターでエゴサーチを久しぶりにしてみました。まだ覚えてくれている方や、私の作品の夏が懐かしいと言ってくださっている方を見つけて、とても嬉しかったです。ちゃんと届きました。ありがとうございます。この気持ちがあなたにも届きますように。 (9月25日 17時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - これを書いた17の私はもう20歳になりました。あの時書けためちゃくちゃ真っ直ぐな気持ちは今は書けないけれど、今書けるものはきっとあの時の私には書けないもので、これからまた書けなくなるものです。あれから2度目の夏に少しだけ懐かしくなってまた書いてみました。 (9月13日 0時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 本当に心動かされるお話でした、もう感動感動です (9月12日 19時) (レス) id: 082e554ec7 (このIDを非表示/違反報告)
唯緒 - ほんまにステキなお話でした!ぜひ映画化を…笑笑 (8月30日 19時) (レス) id: 9c8991db31 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 皆さま、温かいコメントありがとうございます!!!全部読んでいます!!!!とっても嬉しいです。 (7月28日 11時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆの | 作成日時:2017年1月2日 23時

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