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*106 大毅side ページ39

大毅side



確かにこの場所で、星空を一緒に見上げ、手を繋ぎあった人がいる。



あの頃の俺らは消えてしまいそうなくらいに弱くて、お互いを必死に求めあった。



少しずつ明確になっていく記憶に、静かに涙を流した。



早く、思い出したい。



小瀧さんはそんな俺に気づいていないのか、わざと気づかないふりをしているのか、星空を見上げたままでいた。




ズキッ



“届きそうだなって笑”



星空に手を伸ばし、光を掴もうとした少女の影が、頭をよぎっては消える。




プラネタリウムの間、まるで夢を見ているかのように次々に彼女のことを思い出した。



でも終わった途端、それが嘘やったみたいになにも分からへんくなって心臓が引っかかれたみたいにキリキリした。




「わ〜、なんか余韻凄いです。めっちゃ綺麗でしたね!」


『そう、ですね。』


「なんか思いださはりました?」


『いや、そんなはっきりとは。』


「そうですか。ほな、次。次いきましょ!」




外に出ると、まだ太陽は真上にあってそこら中にギラギラとシャワーを降り注いでいる。


もしかしたらもう思い出せないのかもしれないという気すらしてきたけど、


今はそんなこと考えるより、挑戦あるのみ。


勢いよくペダルを踏み込んだ。




『次どこ行くんですかー?』


「あんみつ堂ってとこなんですけど〜、あ、そこ右で。」


『あんみつ堂...なんかどっかで聞いたことある気がします。』


「ゆっくり思い出していきましょ!次も右で、まっすぐです!」


『あ、わかるかもこの道。』




頭で考えるとか、思い出すとか、そういうのじゃなくて、感覚。


ほんまに感覚だけで道を進んでる。




「え、あってます、すごい!」



後ろで小瀧さんが声を張った。



「重岡さんなら大丈夫です。きっと思い出せます!」




不安を取り去ってくれるような小瀧さんの声。


一瞬出てきたネガティヴな考えを頭から消し去り、頷くとどんどん自転車を走らせた。



向かってくる風の匂いを、蝉の鳴き声を、俺は知っていた。



もう一度手に入れたいと思った。

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ゆの(プロフ) - 今日ツイッターでエゴサーチを久しぶりにしてみました。まだ覚えてくれている方や、私の作品の夏が懐かしいと言ってくださっている方を見つけて、とても嬉しかったです。ちゃんと届きました。ありがとうございます。この気持ちがあなたにも届きますように。 (9月25日 17時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - これを書いた17の私はもう20歳になりました。あの時書けためちゃくちゃ真っ直ぐな気持ちは今は書けないけれど、今書けるものはきっとあの時の私には書けないもので、これからまた書けなくなるものです。あれから2度目の夏に少しだけ懐かしくなってまた書いてみました。 (9月13日 0時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 本当に心動かされるお話でした、もう感動感動です (9月12日 19時) (レス) id: 082e554ec7 (このIDを非表示/違反報告)
唯緒 - ほんまにステキなお話でした!ぜひ映画化を…笑笑 (8月30日 19時) (レス) id: 9c8991db31 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 皆さま、温かいコメントありがとうございます!!!全部読んでいます!!!!とっても嬉しいです。 (7月28日 11時) (レス) id: c5ec0b2059 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆの | 作成日時:2017年1月2日 23時

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