24話 ページ31
友人、という言葉に違和感を感じながらも、私は確認するように復唱した。
『友人…』
マレウス「とは言っても、君には過去の記憶がないようだから…無理に親しくしようとしなくてもいい」
『…あの、マレウスさん』
マレウス「マレウスでいい」
彼は私を知っているようだけれど、私にとっては初対面同然の相手。私よりも歳上に見えることから「さん」
を付けて呼んでみると、即答で返された。
確かに友人だったのなら、以前の私はそれくらい親しい呼び方で呼んでいたのかもしれない。
「無理に親しくしようとしなくてもいい」と言われたものの、やはり彼の心内では当時を恋しく思っているのだろう。
そんな確信の無い推察で思考を固めた私は、もう一度「マレウス」と呼んでみる。
するとマレウスは目を大きく見開き、白い頬をほんのり赤く染め下を向く。
マレウス「っ、あぁ…」
なんともぎこちない返事が返ってくる。
……本当に友人だったのかと疑ってしまうくらい、彼の反応に違和感を感じた。
しかし、記憶の無い私の為に色々と気遣ってくれているのだから、ここで無闇矢鱈に詮索するのはやめておこう。
きっと私の知らない内に、彼を傷つけてしまうかもしれないから。
『ありがとう』
マレウス「…!」
だから今は、何も知らない私を思ってくれる彼に感謝しよう。
『…助けてくれて』
それが、何も持たない私に出来る唯一のことだから。
マレウス「…助けなど、僕がしたいと思ってやったことだ」
マレウスは小さく首を振り、優しい笑みを見せてくれる。
マレウス「そういえば、まだ
『えぇ…』
私の返事を聞くと、マレウスは私に向き直り話し始める。
マレウス「僕とAが最初に会った場所…NRC。彼処は僕のように魔法を使える者たちが魔法士になるための養成学校だ。
NRCには7つの寮があり、僕はそのひとつ〈ディアソムニア寮〉の寮長を務めている。
ここは寮内の一室、僕の部屋は出て右隣にあるから、何かあればいつでも来るといい」
『養成学校…ということは、あなたも生徒なんでしょう?勉学や寮の仕事もあるのに、私の面倒まで見てもらうなんて…』
マレウス「気にするな、僕にとって難しい事はそう無い。
だから君が気を負う必要は無いんだ。
君はただ、僕の傍で笑っていてくれればいい」
彼の微笑みに頷き返すと、満足そうに瞼を伏せた。
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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時