10話 ページ14
IN 眠りの間
ゴーン……ゴーン……
古い振り子時計の鐘が日没を告げる。
監督生達が去ってから、十数分後のこと。
すっかり暗くなった室内に、何かを引きずるような歪な音が聞こえる。
ズズズッ…
やがてそれは軋む音に変わり、大きな物陰がゆっくりと動き出す。
ギィィ……
ガコン………
何かの “蓋” が落ちる音
＿＿＿＿＿＿ヒタ
“誰か”の足が床を踏む音
『……………………………』
“誰か”の小さな息遣い
忘れるな
これは、あなたが始めた物語
“わたし”を縛る、あなただけの物語
『…ふふっ、
〈眠り姫〉が今、目を覚ました。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
細く白い手が、開け放たれた扉を押し退ける。
扉は呆気なく壁に打ち付けられ、バタンと音を立てた。
長く白い髪をなびかせ、純白のドレスの裾を引きずりながら、少女は眠りの間を出る。
『……』
部屋を出た先の通路口には、何重にも重なった結界があちこちに貼られている。
『…私を外へ出さない気ね』
少女が右手を軽く振りあげた。
すると結界にヒビが入り、あっという間に崩れる。
『脆い』
またゆっくりと、長い廊下を歩き始める。
階段を登り、目指す場所は……屋上。
やけに暖かい風が吹き、少女のドレスが美しく揺らめく。
真っ暗な夜空に浮かぶ無数の星を見て、少女は自分の胸元に手を当てる。
首にかけていたネックレスが指先に触れた。
見ると、花の模様が描かれた銀色のロケットペンダントだった。
『………これ、何かしら』
それは少女には覚えのないもので、外そうとするがなぜだか上手く外せない。
諦めて、星空を見返す。
『……もっと近くで見たい』
そう言うのと同時に、少女の足が屋根から離れていく。
どんどん離れていき、建物の影で見えなくなっていた月が顔を出す。
『…………やっと、“自由”になれる』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1558人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (
レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ｧｧｧ！若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス - めっちゃ好きです！マレウス様かわいい！ (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え？めっちゃ好きです！！更新楽しみに待ってます！ (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：毘張 | 作成日時：2020年7月30日 1時
