凡人マフィア3【文豪ストレイドッグス】

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NOside






「誰一人見捨てん！我が理想に懸けて！」


車の扉が開いたまま大きく傾き、道路にスリップ音が響く。

車の速度は落ちることを知らず、

負傷している2人の元へ行く。

国木田が大声で叫ぶ。



「賢治！止まる余裕は無い！掴まれ！」



その声を聞いた瞬間、賢治は谷崎の首を掴み、

地面を蹴り出す。

大きな音と共に賢治は車を掴む。

速度がぐんと上がり、猟犬との距離を突き放す。

国木田はハンドルを叩いた。



今すぐ逃げなければ。



サイドミラーに視線を移す。

猟犬の2人はもう見えない。

これだけ離れれば追いつかれることもない。



瞬きをした。



その瞬間、横に居る筈の与謝野との間に空間ができていた。

車体が真っ二つに切断された。

バランスを取れない車は

派手な音を立てて地面に衝突する。

辺りが煙に包まれた。

探偵社全員、何が起こったのか理解できなかった。



あの距離から斬られた。

なんの異能で？



国木田の思考が全ての可能性を考える。

すると呻き声が鼓膜に響いた。


「与謝野女医！」

「車と一緒に斬られちまった·····大丈夫だ、異能で治せば······」


煙が晴れる。

その中を優雅に歩く条野と末広が近づいて来る。


「仲間を見捨てず助けに戻り、敢えなく全員返り討ちーま、世の中大抵そんなものです」


酷く赤い夕日が顔を覗かせた。

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