花が3輪 ページ43
俺はいつも通り裏口側の縁側に座り、山を見つめていた
人がこちらに歩いてくる気配がしてそっちを向いたら、なんとあの子がすぐ側まで近寄っていた
怖がらせないように俺は笑顔で話しかけた
「君は、花菜の孫だったな！」
『お兄さん誰？』
そうだよな
初めて話すし、こいつ誰ってなるよな
しかし、お兄さんか…(笑)
「俺か？俺は鶴丸国永！
お兄さんも嬉しいが、じいさんかな？」
『おじいちゃんなの？』
年齢的でいえばそうなるなと、自分の中で返事をした
「そうだ！君、名前を教えてくれるか？」
何を話せばいいかわからなかったから、とりあえず名前を聞いてみた
すっかり忘れていたのは、神に名前を教えてはいけないということだな
『私はね、Aって言うの！』
明るく元気に返事してくれた
ここがきっかけで、Aは俺のところに来るようになった
内番の時も、ほかと遊んでいればいいものを俺のそばに来てずっと見ている
愛しい、と初めて思った
この小さい命は俺が守らないとって思ったんだ
何故こんなにも気になったのかはわからないがAにはそんな魅力があるのだろう
この笑顔を曇らせたくない、ずっと笑顔でいて欲しい
そんな俺の思いは数年後に裏切られた
Aが七歳になり、1人で泊まりに来た時のことだった
両親は仕事があると言って、二日後に迎えに来ると言った
花菜が血相を変えて俺と遊んでいたAの元へ走ってきた
あの時の表情は忘れられないな
「A…、お母さんと、お父さんが…！！」
死んだ
当時の幼いAにはとても重く苦しい報告だ
『な、なんで！？
どうしてっ！？ちゃんと迎えに来るって、さっき言ってたよねっ！？』
Aは叫んで部屋を飛び出した
俺はすぐにあとを追いかけ、心当たりのある川辺に向かった
案の定、膝を抱えて丸くなっている
『ねぇ、鶴じい
なんでお父さんと、お母さんなの…？』
俺の気配に気づいたのか、顔をうずめながら問いかけてきた
「A、君の両親が、とてもイイヤツだったから…かな？」
燭台切のことを思い出して、俺も少し涙ぐんでしまった
『お父さん！！お母さんっ！！
やだぁぁぁぁぁっ！！
うぇぇぇぇぇぇぇん！』
泣き声をあげて俺に抱きついてきたAをただ抱きしめ返すことしか出来なかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夷空斗(プロフ) - 蒼い薔薇さん» コメントありがとうございます！なんとか完結させることが出来ました！この話を読んでいただきありがとうございます！！ (2018年9月29日 19時) (
レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
蒼い薔薇(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開には、ウルっと涙腺が緩んでしまいました！この小説を読んで鶴丸がもっっと好きになってしまいました。本当に最高の作品でした。 (2018年9月29日 0時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 私もいつもコメントを返していただけて嬉しいです！コメントを通して作品の励みにしていただけて、お話できて良かったです！次作を書かれるのならばすごく楽しみです！こちらこそこの作品に出会わせていただいてありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
夷空斗(プロフ) - 紗衣さん» 紗衣さん、いつもコメントありがとうございます！本当に励まされました！素晴らしい作品と言っていただき、本当に嬉しいです！！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 毎日この話を読むためにこのサイトを開いて更新を楽しみにしていました。完結したのだと知って涙が止まりません…本当に素晴らしい作品でした…。夢主ちゃんと鶴丸が向こうの世界で幸せになってくれればと思います。完結おめでとうございます！この作品が大好きです！！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夷空斗 | 作成日時：2018年9月2日 0時
