花が2輪 ページ42
この本丸に居座り出して3日後、俺はいつものように裏口側の縁側に座り、何を考えるでもなくぼーっとしていた
すると、表が急に賑やかになり、子どもの声まで聞こえてきた
「あなたがお母さんの本丸に来た新しい人？」
若い女性が話しかけてきた
俺は軽くにらみ、警戒した
「私、この本丸の娘です
今亭主と娘と遊びに来てるのよ
よろしくね、鶴丸国永さん」
そう言って笑いかけてくる女性はとても穏やかな雰囲気だった
深く入ってくるわけでもなく、優しく見守るって感じだな
女性のあとを追い、表を覗くと小さい女の子が刀剣男士と遊んでいた
主に短刀の連中と鬼ごっこなどしている
しかし人間は幼すぎるだろ
「おじょう！
岩融がたかいたかい！してくれますよ！」
今剣が小さい子を抱き上げ、岩融へ渡すと、勢いよく天へと突き上げた
普通の小さい子なら泣くぞ
『あはははははっ！
たかいたかーーい！！』
怖がるどころか楽しんでいるな
その様子を俺はずっと見ていた
１週間に1回のペースであの小さい子は来た
ある時は転んで大泣きして、またある時は泥を食べて燭台切に怒られてたり
いつの間にか、俺はそのこの様子を見て笑っていた
本丸のことを忘れるほど、人間の子どもを見ているのは楽しい
＿＿＿＿
「なぁ、花菜
お前は孫が好きか？」
ある日の夜に、俺は唐突に聞いた
「もちろん大好きよ
那美も優太も、そしてここにいる刀剣男士も」
何かを書いていた花菜は俺の方を振り返り、柔らかい笑顔を浮かべた
「随分と穏やかになったわね、鶴丸」
「俺が？穏やか…？」
“ここに初めて来た時は手負いの獣だった”と花菜は笑って言ったが、俺はなかなか実感がない
変わったとしたら、あの孫娘のお陰かもしれないな
「随分と驚きだな」
確かに笑えるようになったとは思う
それは大きな進歩なんだろうな
「次にでも会ったら話してみるといいわね
きっと、喜ぶわよ」
そう言いながら、花菜は書き終わった書類をまとめ部屋を出ていった
あの子の成長する姿を見守ってみたいな
いつの間にか、俺はそんなことを考えていた
気づけばこの本丸にも馴染んで、燭台切や大倶利伽羅、太鼓鐘とは普通に話せるようになってきていた
ここでなら、俺も笑って過ごせるのだろうか
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夷空斗(プロフ) - 蒼い薔薇さん» コメントありがとうございます！なんとか完結させることが出来ました！この話を読んでいただきありがとうございます！！ (2018年9月29日 19時) (
レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
蒼い薔薇(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開には、ウルっと涙腺が緩んでしまいました！この小説を読んで鶴丸がもっっと好きになってしまいました。本当に最高の作品でした。 (2018年9月29日 0時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 私もいつもコメントを返していただけて嬉しいです！コメントを通して作品の励みにしていただけて、お話できて良かったです！次作を書かれるのならばすごく楽しみです！こちらこそこの作品に出会わせていただいてありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
夷空斗(プロフ) - 紗衣さん» 紗衣さん、いつもコメントありがとうございます！本当に励まされました！素晴らしい作品と言っていただき、本当に嬉しいです！！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 毎日この話を読むためにこのサイトを開いて更新を楽しみにしていました。完結したのだと知って涙が止まりません…本当に素晴らしい作品でした…。夢主ちゃんと鶴丸が向こうの世界で幸せになってくれればと思います。完結おめでとうございます！この作品が大好きです！！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夷空斗 | 作成日時：2018年9月2日 0時
