鶴が七十八人 side鶴丸 ページ30
俺は夜になると本丸に帰った
やはり長時間俺がAのそばに居ると興奮して霊力が抑えられなくなるそうだ
また後で、なにか機会があったら連れていってくれると鈴木は言った
「楽しかったかい？鶴さん」
「光坊か！」
燭台切が縁側に座っている俺の隣へ来た
手にしていたのは徳利と盃
疑問に思い空を見ると、見事な満月が輝いていた
「俺たちだけ呑んでるとうるさい連中が来るかもな」
「そうだね、でも多い方が楽しいだろ？」
酒を注ぎ合い、盃を煽った
「A、随分と荒療治だった」
戻ってきてから初めて、Aの様子を口に出した
「全身に札を貼られて、そこの部分は死んでるんだと
はがせば生き返るってさ」
俺が話すことを、燭台切は真剣に聞いてくれていた
「俺が、あんなことになっちまったからな…
相当無理させたんだな」
酒が入ったせいか本音がどんどん漏れてくる
俺がもっとしっかりしていたら
後悔してばかりだな
「鶴さん、主はそんな事考えてないよ
鶴さんが無事でよかったとしか考えてない
だから、鶴さんに切られたとしてもそばに居たいって真っ先に動いたんだ」
「光坊……」
こんなんじゃダメだな
あいつが帰ってきた時に“あっ”と驚かせてやらないと
目に浮かんだ涙を拭い、再び満月を見つめた
「俺がこんなんじゃダメだなっ！」
そう言って笑うと、燭台切も笑い返してくれた
「でも、鶴さんと主を見てると祖父と孫じゃなくて恋人に見えてくるんだよね〜」
燭台切は顎に手を当てて空を見上げた
俺はすぐに否定の言葉が出てこなかった
確かにAは大切な主であり、孫のような存在だ
……ふとした拍子に思い出すのがあの接吻でなければな
「鶴さん？
顔が赤くなって鶴みたいになっているよ？」
俺は慌てて両頬を抑え、燭台切の方を向いた
…なんという事だ、すごく意地の悪い顔をしている
おかげで酔いが一気に醒めた
「光坊、からかっていたのかッ！！」
「鶴さんの反応が面白くてつい…ね？」
恥ずかしくなり俺は立ち上がった
そして中庭の方に進み三人の墓の前に立った
俺としたことが、本当に好いてしまったのか
一度認めてしまえば、もう元には戻れないな
「なぁ花菜、君は怒るか？
俺がお前の孫を好いてしまったことを」
返事のない墓石に静かに話しかけた
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夷空斗(プロフ) - 蒼い薔薇さん» コメントありがとうございます！なんとか完結させることが出来ました！この話を読んでいただきありがとうございます！！ (2018年9月29日 19時) (
レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
蒼い薔薇(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の展開には、ウルっと涙腺が緩んでしまいました！この小説を読んで鶴丸がもっっと好きになってしまいました。本当に最高の作品でした。 (2018年9月29日 0時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 私もいつもコメントを返していただけて嬉しいです！コメントを通して作品の励みにしていただけて、お話できて良かったです！次作を書かれるのならばすごく楽しみです！こちらこそこの作品に出会わせていただいてありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
夷空斗(プロフ) - 紗衣さん» 紗衣さん、いつもコメントありがとうございます！本当に励まされました！素晴らしい作品と言っていただき、本当に嬉しいです！！最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 607aafe4eb (このIDを非表示/違反報告)
紗衣(プロフ) - 毎日この話を読むためにこのサイトを開いて更新を楽しみにしていました。完結したのだと知って涙が止まりません…本当に素晴らしい作品でした…。夢主ちゃんと鶴丸が向こうの世界で幸せになってくれればと思います。完結おめでとうございます！この作品が大好きです！！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: 7d9698e044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夷空斗 | 作成日時：2018年9月2日 0時
