おい、歯ブラシ忘れてんぞ。【松田陣平】

Toothbrush｜１７ ページ18

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『私、二階の窓から一人入って強行突破を図ろうと思うの』


「はぁぁ！！？そんな無謀な事、危険過ぎるわよ！！」


『大丈夫。忘れたの？中学生の頃頑張りたい事の欄に“次の木登りバオバブ”って書いたって言ったの』


「そういう事じゃないのよ！！」




中高先輩後輩関係だった私達。一周回って呆れた様子の美和子だがそれ褒めてるって受け取っていい？




「だったら私も、」


『ストップ。美和子は早まっちゃ駄目。いい？この案件の担当リーダーは美和子、そして私は美和子を補佐するサブリーダー。的確な指示を出すリーダーが中心に居なきゃ駄目じゃない』



それに、と付け加える




『相手二人であろうが身長差がそこまで無いって分かれば少し余裕が出来るの。大丈夫、子供は絶対に守る＿＿美和子は指示をお願い』



頼りにしてるよリーダー、なんて肩を軽く小突けば腹を括ったらしい美和子は笑った



「裏の警備に連絡。西條刑事が二階の裏窓から突破を図るから犯人に気付かれないよう護衛して」



ピンマイクで呼びかけた美和子に大きく頷き裏へ走った





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窓へ掛けた梯子を登り、釈が足りない分はフレームに手をつき懸垂で身を乗り出した



侵入成功



犯人が逃げないよう入って来た窓に鍵をかけ拳銃を構えながら腰を低く進む




紙幣や小銭といった現金が保管されている金庫の前に辿りついた瞬間だった





「誰だ！！！」



背後からの怒濤


振り向けば覆面を被った二人組、手には拳銃





『...警察よ。大人しく自首しなさい』



改めて拳銃を向ければ覆面の口元が歪められた




「コイツがどうなってもいいのか？」




もう一人の犯人に背中を押され出て来たのは人質にされた子供で




その姿に目を見張った




子供の首にぶら下がっているのは＿＿







『＿＿時限爆弾...？』




人質に取られた子供は犯人の手により金庫に追いやられる




「解体工具はここにある。まぁ成功した時には自分達は逃走成功、精々生き延びる事を祈るよ」



『現金を盗み出し物理的に銀行を潰そうって魂胆？...とんだ出来レースね。檻にブチ込んでやるわ』




怒りを露にしたまま静かに拳銃を下ろし子供が放り込まれた金庫へ自ら足を踏み入れる



外部と繋がる機器は渡すよう促され拳銃も取り上げられ、鍵をかけられた



何しろ犯人が子供に拳銃を向けているのだ。聞き入れる他ない




時限爆弾残り10分



解体工具を握り絞めた





『＿＿っ松田、』

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