おじさん天使の憂鬱。3

VS　めがねアイドル。131 ページ34

Side サトシ


NINOの活動が減れば、と
嫌がらせの手紙に始まって
楽屋の箸袋や飲み物に細工をしたり
今日も..
本当は、カズを突き飛ばすつもりだったらしい。


「なんだよ、それ！！
　ふざけんな！！」

ばぁん！って
テーブルをたたいた、まつじゅんに
カズが、しーって
ひとさし指を立てて、やんわり、注意。

大丈夫。
まーくんは、この騒ぎでも
パパの腕の中で、夢の世界だ。

「さすがに、やりすぎだね。
　NINOのファンは、確かに熱狂的で
　過激な子が多いとも聞くけど..。」

「もちろん、事務所に報告して
　警察に行ってもらいました。」

「だからって..許されねぇよ。
　いくらファンでも！」

興奮が止まらない、まつじゅんと
なだめる、ショウくんと蓮のやりとりを
するって、かわした、カズ。

「ごめんね、大埜さんにも
　痛い思いさせちゃって。」

「ん？俺はカズが引っ張ってくれたから
　大して痛くもなかったよ。」

「んー..でも。
　まーのことも、ちゃんと、守ってもらったし。」

カズの表情は、とっても穏やかだ。

「とりあえず、その子は
　さすがにもう、何にもしてこないでしょ？

　なら、いいんじゃない。
　まーも..無事だったし。」

言い終わるか、言い終わらないかで
カズが、すぅーって、静かに目を閉じる。


「ね..寝た..。」

「寝たね。」

「葉宮..子供みたいだなぁ。」

「安心したんだろ..こんなんでも。」


4人に覗き込まれても
ひとかたまりで、静かにソファーに沈む2人は
起きそうにない。


「なんか..
　葉宮って、しあわせですね。

　みなさんに、これだけ守られてたら
　安心です。」

「お前に安心とか
　言われるまでもないんだけど..。」

つっかかる、まつじゅんにも
蓮は、ははは！ですよね！って
気持ちよさそうに笑う。

「じゃ、俺も
　息子ちゃんに会いたくなっちゃったんで
　帰ります！」

「へ？む、むすこー！？」

葉宮に、また大学でって、伝えてください―！って
風のように去って行った、蓮。

というか、真崎レンノスケ。


「いい子そうじゃん。」

って、俺がつぶやいたら。

「どこがだ！！」

って、まつじゅんに怒鳴られたけど。

テレビのめがねアイドルの顔より
めがねなしの、普通のまんまで、いいのにね。

まっすぐで、屈託のない笑顔で。

「まーくんって
　大人になると、あんな感じになるかもね。」

そうつぶやいて
ますます、反感を買ったのは言うまでもない。

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