6mm.

☆よこやま ひろき。 ページ22

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「Aさん！今日ご飯行きませんか！」





横山くんって犬みたい。
人間って不思議なもので1度思ってしまったら、他のことは考えられなくなっちゃうんだよね。





「今日？仕事長引きそうだなぁ」

「大丈夫っす！俺、待ってます！」





今だってほら、横山くんのお尻に尻尾が見える。





「試合終わりで疲れるのにダメでしょう」






球団職員として選手がプレーに支障をきたすような行為は断固反対しなければいけない。

ダメダメ、と手を顔の前でチラつかせると
そうっすか、と残念そうに眉が下がった。

…なんだそのしょげた子犬のふりは。

ずるい。私が苛めてるみたいじゃん、






「明日は、どうかな？」





明日だって、明後日だって、彼は試合があるのに私は何を言ってるんだ、と思ったのは言ってスグあと。

パーっと明るくなった彼の顔を見て
もう遅かったと気づいた。







「いいんすか！」

「明日なら早く終わると思うし、」







そうだ、早く仕事が終わる日なら、早めに彼を返してあげられる。うん、正当な理由。







「なに食べたい？」

「Aさんの手料理」

「……は？えっ？！」

「ダメですか？」

「…ダメ、ではないけど」






わざわざ味も見た目も平凡な私のご飯を食べるより、もっと綺麗で美味しいご飯を食べた方がいいんじゃないの。そんなことを思う私は年をとって随分理屈っぽくなった。








「もっと美味しいものでも、」

「Aさん、流石に気づいてくださいよ」

「？」







ずっと犬みたいで可愛いと思っていた年下の彼が、突然自分より大人に思えたのは、真剣な顔つきに変わったのが私にも分かったからだ。







「…Aさんの家に行きたい、口実っすよ」


それでもいいですか？


犬はこんな策士なことは言わない。
そしてただの可愛い後輩のアプローチをみすみす受け入れる私って何だろう。





「……うん、いいよ」

「ありがとうございます、楽しみっす」






ああ、飼い犬に手をかまれるとは
このことを言うのだろうか。






〔 彼は立派なオオカミでした 〕






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☆かまもと ごう→←☆.みやにし なおき。

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