セカンド

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次の日、出勤すると同時に挨拶をするため横尾さんが座ってるデスクに目を向けると横尾さんはこっちを睨んでた。
連絡をしなかったことを多分怒ってる。
起きてスマホを確認すると、横尾さんからの鬼電があったことを知らせる着信履歴。
横尾さんで埋まっていた。


･･･藤ヶ谷さんからは連絡は来ていなかった。
まぁ彼女と逢ってるなら返せないだろーけど


「ミツ、何で連絡くれなかったの」


職務中にも関わらず、そう言ってくる横尾さん。
いや、周りに普通に人いるし



「ごめん。本当に寝ちゃって」
「･･･美容師は？」
「来てないよ。彼女と遊ぶんだって」
「ふーん」


聞いておいて、その反応。
横尾さんが益々分からなくなる



「今日来る？」
「いや、今日は彼女と外食する予定」
「･･･仲がよろしいことで」



好きだと言ってくるくせに
結局は彼女をとる。
女っていいよな。女ってだけで何事も上手くいく
俺が女だったらモテる自信あるのになー



「北山先生、少しいいですか？」
「はーい、どした？」



玉森がひょっこり受付まで来て俺の名前を呼んだ。
その声に振り返りながら、立ち上がる。


「これ、この前家族旅行の時のお土産」
「え？」
「･･･この猫北山先生に似てたから」


そう言うと、玉森は猫のキーホルダーを手渡してきた。やばい。俺に似てるって･･･それってこのキーホルダーを選んでくれた時は俺のことを考えて思い出してくれたんだよな。その純粋な思いに、ふと泣きそうになる。


玉森の大きな綺麗な手から俺の手へと移動する猫のキーホルダー


「･･･似てなくね？」
「似てますよ。北山先生みたいに可愛い」



こんなキーホルダーどこで手に入れたんだよ。
家族旅行どこ行ったの？とか御礼もかねて聞きたいのに


こんなキーホルダーを貰っただけで泣きそうになるだなんて。話したら涙が零れそうになるだなんて



「北山先生は強がってばかりで人に甘えるのが苦手そうだから。なんとなくこの猫に似てた」


この猫は威嚇しているようにしているのに、顔は優しくて。どこか寂しそうに見えた


「猫の島に行ったんだー。たくさん色んな猫がいた」


玉森も猫みたいだけど
気まぐれで何考えてるか分かんないのに
たまに懐いてくる



「サンキュ。謹んで頂きます」



俺より身長が高い玉森。
玉森の長い腕が伸びてきて
俺の頭に掌を乗せ髪をくしゃと撫でた。
生徒なのに･･


寂しそうにみえる猫のキーホルダーはまるで自分のことのようだった。

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