セカンド

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藤ヶ谷さんとそのままタクシーを拾いホテルへと入った。タクシーの中でも怖くて彼女はいいんですか？とは聞けなかった。
聞いてしまって、彼女のことが気になってしまい引き返されたらと思うと怖くて。


彼女はきっと二階堂さんがいるから変なオトコに絡まれたりもしないだろう。
俺はタクシーで横尾さんに先に帰るとだけメッセージを送った。
酔いは覚め、脳は完全に起きていた。


でも、酔ったフリをしないと、藤ヶ谷さんはきっと・・・


だから、酔ったフリをする。


一夜だけの行きずりの関係ーーー･･･


先輩とも横尾さんとも入ったことがあるから
男同士でも入れることは知っていた。
受付がないパネルを選ぶところで
あぁ、慣れてるなぁと思う。
選んだようで、藤ヶ谷さんがそこの部屋のボタンを押すと、そこのパネルがほかの人に選ばれないように消えていく。


藤ヶ谷さんの選んだ部屋は....
他に残っている部屋の中で一番値段が高かった。


別に安くてもいいのに。
値段まで確認する俺はガメツイだろうか。


でも、そんな些細なことも嬉しかった。
今日という日が藤ヶ谷さんには気まぐれで優しさだけの想いでも、俺はきっと忘れることがないから。
だから、少しでも素敵な部屋で過ごせたら嬉しい。


「行こう」


藤ヶ谷さんはそう言って、肩を抱いていた手を離し、手を差し出した。その手の上に自分の手を置く。するとギュッと握りしめられる。


その手は…綺麗だった。
いつもカットしてくれるその手。
この手にずっと触れたかった。


エレベーターの中で最上階のボタンを押した藤ヶ谷さんと２人並んで立っていると、また、藤ヶ谷さんの唇が俺の唇を塞いだ。


優しく。
まるで、吸いつくように。


藤ヶ谷さんこういうこと慣れてる･･･。
色々な人との経験値があまりない俺にさえ分かる。


キスが上手。
強引だけど、優しい。
欲を掻き立てられるようなキス。


エレベーターが止まり音がすると扉が開く。



藤ヶ谷さんの唇がゆっくり....離れていく。

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