天邪鬼の奇才プレイヤー２ (ページ47)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:155,711 hit

嗚咽ページ47

✕

溢れ出る涙を隠しながら愛する父親の死と
今日のゲームについて語るAは不謹慎だが、綺麗だった。

タオルで目を拭きながら充血した青い目でまっすぐ前を見つめる
姿はどんなことにも負けなかった不屈のエースだった。

そのエースが涙を流して今日のゲームを話した後、
リポーターが質問を途中で止めた。

それは、Aが嗚咽を堪えきれなかったから。

ダウンをしつつAのインタビューを見てた俺は、
何も持たずにAの方へ走った。

そして震える肩を抱いてカメラから隠れる俺の後ろへ。

「すいません、A、まだ混乱してて。」

リポ「分かりました、柳田さんから見るAさんってどんな人ですか？」

「自分のことより周りを優先できる心優しい人です。
4年前、自分が一番苦しいのに僕と祐希に声掛けに来てくれたり
今回も自分よりお父さんのこと考えてて。
Aと出会えて幸せだな、って思います。」

リポーターさんがうんうん、と頷きながら俺とAを交互に見る。

まだAはタオルで目を隠したままだけど。

リポ「柳田選手と鶴羽選手、おふたりの絆はいつからなんですか？」

「んーいつからなんだろう。
Aが世界旅行で東洋に来た時だから9年前？とかだと思います。
でもその時はすごすぎるプレー見せられて感化されたのに
旅まだあるから、って日本出ていっちゃって。
再会したのは4年前の代表召集の時です。
でも、その後連絡取れなくなりましたけど。」

鶴羽「マサ、これ以上泣かさないでよ」

Aの涙声の一言で勝利のインタビューは終わった。

そして長かったW杯も終わりを迎えた。