涙で光るガラス (ページ17)

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今日はお休みだし、もうメイクもしてるから折角だしお出かけしようかな。

海斗くんみたいに小説を平気で読めるようになりたいから、なんて理由で本屋さんに行った。

分厚いのは気が乗らないから、薄い本から挑戦してみようかな。

ついでにファッション雑誌も一緒に見てみよう。

ペラペラとページを捲りながら、海斗くんが次私に選んできてくれそうな本を予想する。

この本は少し年齢層が高いのかな、これがいいのかな、と色々と物色していると

『え…？』

黄色が基調になった表紙の雑誌。

真ん中の辺りに金髪の、海斗くん…？

ページを開くと、大きく掲載されていて

"松倉海斗"の文字もしっかりと表記されていた。

スマホを取り出して、海斗くんの名前を検索すると"ジャニーズ事務所所属"なんて。

調べる手は止まらなくて、公式サイトのような所に入ると、赤髪の海斗くんの写真と一緒に、趣味や特技や将来の夢が出てきた。

趣味の欄にあった、ギター。

特技の欄にあった、昨日話していた習い事の数々。

…なんだ、そういうことだったんだ。

LINEのこと誰にも言わないでほしいっていうのは、言いふらされたら仕事に支障をきたすからで

松倉くんが選んだファッション雑誌を持ってくるのは、こうやって雑誌に載っている自分を私から隠すためだったのかもしれない。

驚きよりも納得の気持ちが大きくて。

そりゃあ仕事は不規則だし、昨日みたいに綺麗にメイクしてたりするよね。

海斗くんが隠していることって、この事だよね？

いつまでも本屋さんで海斗くんについて調べる訳にもいかなくて、目の前にある黄色の表紙の雑誌をレジに持って行った。

店員「トラジャ、好きなんですか？」

学生さんかな？

可愛い店員さんがキラキラした目で私を見てくる。

あぁ、トラジャって海斗くんのいるグループの事か。

『好きです』

店員「私もです！私、松倉くんが好きで！」

海斗くんのファンの子？

そっか、そうだよね。

いるに決まってる。

なんだろう、この感じ。

店員「お姉さんは誰が好きですか？」

『あ…えーっと…元太くん？』

同じ人が好きだと気に触るかも思って、さっき目に入った名前を言うと、店員さんはまた目を輝かせた。

店員「元太くんですか！松松ですね！」

マツマツ？

よく分からないけど、そうですねと返事をして本を持ってお店を出た。