涙で光るガラス (ページ11)

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松倉「Aちゃん、もしかして雷怖い？」

私が頷くと、海斗くんは急に降り出した強い雨を見てから玄関の扉を閉めた。

松倉「…雨が止むまで、一緒にいてもいい？」

きっと海斗くんは、私が雷を怖いと言ったから、こんなこと言ってくれているんだろうな。

『うん。ありがとう』

松倉「何が？俺が雨宿りさせてもらうんだから、俺がありがとうって言わなきゃいけないんだよ」

『海斗くん、優しいね』

松倉「だから何が(笑)」

笑いながらスニーカーを脱いだ後、私の頭を撫でてくれる。

…あぁ、好きだなぁ。

松倉「え？」

『え？』

なんだか、海斗くんがポカンと口を開けている。

松倉「あ、いや…」

『…もしかして私、今声に出してた？』

松倉「うん」

『あの、今のは、その…っ！』

またゴロゴロとさっきよりも大きな音をたてて鳴った雷。

怖くて思わず海斗くんに飛びつくと、何も言わずに抱き締め返してくれた。

松倉「とりあえず部屋、戻ろっか」

ソファーにふたり、並んで座る。

『…海斗くん、お願いがあるんだけど』

松倉「ん？」

『手、握っててもいい？』

松倉「いいよ」

右手で海斗くんの左手に触れると、ギュッと優しく握ってくれる。

気を紛らわせるためにテレビをつけてみるけど、やっぱりゴロゴロ鳴る雷は怖くて、音が聞こえる度に海斗くんの手を強く握り締めちゃう。

松倉「どうしたら雷のこと忘れられるかな」

『わかんない』

松倉「耳塞ぐのは？」

『それはいつも布団に潜ってやってるけど怖いもん』

松倉「そっか…」

"じゃあさ"と私の手を離した海斗くんは、両手で私の耳を塞いだ。

『海斗くん？』

私が名前を呼ぶと、耳から少し手を離して

松倉「これでもダメ？」

何故かさっきよりも顔が近く感じる。

真っ直ぐ見つめられて、耳を塞いでいなくてもずっと顔に海斗くんの手が触れている。

『…ダメじゃない、かも』

外が光るのが見えたのか、"来るよ"と海斗くんは私の耳を塞いで、微かに聞こえたゴロゴロという音がなくなるとまた少し手を離した。