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結局、のんちゃんは寝てしまった。
しばらくそのままの体勢でいたけれど
寄りかかられていたら動けない。
しょうがない、転がすか。
身体を動かすと寝ぼけながら「あ、ごめん」と言って、
のんちゃんは横になった。
いくら友達とは言え、さすがに
寄りかかられているのはどきどきする。
やっと解放されたと安心していると、
今度は手をぎゅっと握られた。
心臓に悪いからやめて〜と思うのに、
のんちゃんはすやすやと寝息をたてながら眠っている。
「本当にチャラいんじゃん」
小声でそう言ってみるけど、お構いなし。
もういいや、と開き直って
のんちゃんの横に寝転がることにした。
友達だし!意識しすぎるからいけないんだ。
個室のような部屋だから
いつもと違う雰囲気で気まずいだけなのかもしれない。
別にのんちゃんからしたら、どうってことないんだろう。
それにしても温かい手だな。
男の人と手を繋ぐのなんて久しぶりだ。
そんなことを考えながら目を閉じる。
なんとなくシゲの笑顔が思い浮かんだ。
隣にいるのがシゲだったらいいのに。
こうやってシゲに触れられたらいいのに。
私は、何を考えているんだろう。
そのまま眠りに落ちていった。
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作者名:ひろか | 作成日時:2019年11月12日 18時