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のんちゃんの気持ちに気がついたのは
漫喫に行った日の朝だった。
「起きろ〜」と肩を揺すられて、うっすらと目を覚ますと
起きたことに気づいていないのか
「なぁ、A。
なんでシゲなん?」
そう呟いて私の髪を優しく撫でた。
ぼんやりとした頭で起き上がろうかな、なんて
思っていたのにタイミングを見失って、
そのまま眠っているふりをする。
考えたこともなかった。
ふみちゃんのことが好きなんじゃないかとずっと思っていたくらいだから、
まさかのんちゃんの好きな人が私だなんて。
それでもこれだけじゃ決め手にはならないし、
勘違いであってほしいと思っていた。
今までシゲの相談も聞いてくれていたし、
恋愛感情を挟まない友達同士だったはずなのに。
この関係を崩したくない。
自分勝手な感情だということはわかっているけれど。
でも、私の願いは届かなかった。
今日すべてが変わってしまった。
唇が離れると、のんちゃんは照れたように微笑む。
私の頭をぽんぽんっとして、
「あんまり意識せんでええよ」と言った。
「でも・・・」
「避けられると俺が困る!
いらんこと考えて、俺のこと遠ざけそうやもん。
だから友達でええよ。
あ、でも俺が好きだってことだけは忘れんでほしい」
んー、なんか言うてることめちゃくちゃやな、と言いながら顔を手で覆う。
はぁ、とのんちゃんが溜息をついた。
きっといろんなことを考えてくれている。
私はこれからどうしたらいいんだろう。
のんちゃんの言葉に甘えてしまいそうで
やっぱり気持ちを知りたくなかったなんて
最低なことを考えていた。
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作者名:ひろか | 作成日時:2019年11月12日 18時