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花火が終わるまで、手は離せなかった。
再び人混みに紛れて、駅に向かう道でも。
当たり前のように繋がれた手は
他人から見ればただのカップルに
見えるのかもしれない。
｢まだ時間いける？｣
｢うん、電車乗るのも無理そうだもんね｣
駅の大混雑を見て、2人ともそこを突き進んでいく気は失せてしまった。
｢ちょっと散歩しよか｣
｢うん｣
駅から離れて夜の閑散とした公園を歩く。
のんちゃんが手をさらに強く握るから、
痛いくらいに気持ちが伝わってきて
もう言葉にしなくてもわかってしまう。
｢なぁ、好き｣
それはあまりにも自然にのんちゃんの
口から発せられた。
｢ほんまに･･･ずっと好きやった｣
何を言ったらいいのかわからない。
誰かの気持ちを受け入れられるほど、
私には余裕がない。
｢ごめん･･･ずっと気づかなくて｣
｢な、ほんま。ふみみんのこと好きなんでしょ？とか言うしな｣
ははっと笑うと、のんちゃんは切なげな目をした。
｢私･･･｣
｢ええよ、気持ち伝えたかっただけやし。
Aめちゃくちゃ鈍感やから、言っとかんと眼中にも入らんのやろなと思って｣
｢･･････｣
｢でも、言わんでも気づいてたみたいやな｣
｢ごめん。私は･･･シゲのこと｣
｢知っとるわ！何いまさら！
シゲのこと好きやってわかってるから、言っとんねん。
俺のことも見てほしいだけ。
別に振ってくれてかまわんから。
今すぐ付き合えるなんて思ってへん｣
｢うん･･･｣
｢あほ！泣きたいのはこっちやからな！
そんな顔すんな！｣
そう言うと私の頬をぎゅっと包み込んだ。
のんちゃんの真っ直ぐな目に捕えられる。
振ってくれていいなんて言っていたのに、
熱のこもった唇がゆっくりと重なった。
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作者名：ひろか | 作成日時：2019年11月12日 18時
