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招待状を握りしめ、家に入ってすぐに中身を確認する。

玄関に立ったまま、それをじっと眺めると
そこには大毅の名前と、知らない女の人の
名前が並んでいた。

その場にへたり込んで、動けなくなってしまう。

私は何を今さら。

膝に顔を埋めて丸まりながら、
鞄から手探りで携帯を抜き取った。

実家に電話をかけると、数コールで
母親のもしもしという声が耳に届く。

｢もしもし。お母さん。ねぇ、大毅結婚するの知ってた？｣

｢あんた久しぶりに電話してきたと思ったら！
聞いてたよ。大学の同級生の子なんだって｣

｢そうなんだ｣

｢なに？大毅くんから聞いてなかったの？｣

｢だってもうほとんど会ってないし。
連絡も取らないもん｣

｢昔は仲良かったのにねぇ。
お母さんたちはあんたと大毅くんが結婚すればいいのになぁって思ってたんだよ。
あんたたちなんかあったの？｣

何かあった？なんて聞かれても、
なんにもなかったからこうなったのだと思う。

自然に幼なじみとして離れる時がきて、
各々の生活を過ごしていたら
いつの間にか接点がなくなっていっただけ。

それを苦しいと思ったことは1度もなかったと思う。

いったい私はどうしちゃったんだろう。

大毅に先を越されたことに焦っているのか、
私の知らない大毅になってしまったことが寂しいのか、

本当は大毅のことがずっと好きだったのか。

これから結婚する人にたいして
そんな感情を抱くなんてどうかしている。

頭を強くぶんぶんっと振って、
お母さんのあんたはまだ結婚しないのか話に
適当に相槌を打ちながらもう一度招待状を眺めた。