夕立;22 ページ34
――――あぁ、そういうことか。
サッチはふとそう思った。
Aに感じた違和感というかこの何となく納得のいかないこの感じ。相手のことは誰よりも考えられるのに自分のことはとんと無頓着というか。
『………Aは、怒りの感情がすっぽり抜けてんだ』
日々、母親から虐待を受けていた環境を考えれば当然だったのだ。親から怒りや憎しみ以外の感情を与えられなかった。それ故に、Aは自分から何かに怒ることをやめた。……だって何より無駄だから。自分が怒ったところで誰にも届かない。それなら怒るという感情を捨てた方がいい。
「……あら？マルコ隊長いないのね」
突然聞こえた声。Aの部屋の扉から顔だけ出したのはナースだった。
「……っ！、あぁここにはいねぇよ」
サッチが慌てて返事をかえす。
「そうみたいね。書類を渡しに来たのだけど、……医務室にいなかったから、ここならいると思ったのよ」
「マルコなら甲板にいるんじゃねぇかな」
「…そう？ならそっちを探してみるわ。ありがとう、サッチ隊長」
そう言ってナースは手を振って部屋を出ていった。
「……っ、あ、」
Aが手に持っていたコップを落としそうになったので、エースが慌てて受け止める。
「…おい、どうした？」
「………今の、今の人……」
Aが口をパクパクさせている。
「………今の声、僕、殴られた時に聞いた声、」
「……何だって」
エースが目を開くと黙って立ち上がる。
「悪ぃサッチ、Aのこと頼むわ」
「お、おいエース、どこ行くんだよ」
エースは黙って部屋を出ていってしまった。
「ど、どうしよう、エース、行っちゃった……」
「……ったく、アイツは……」
サッチは呆れ返るほかなかった。
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
