夕立;14 ページ26
手にまとわりつくこの感触。ぬめりとした指に絡むこれは薄暗くてもマルコには分かった。
「……っ！おい！A！これ、お前っ……」
慌ててAの頬を軽く叩く。
「……………ん、マルコ……」
まだ意識はあった。
Aの後頭部からは血が流れていた。なぜ今まで気づかなかったのかとマルコは自問自答する。よく見れば枕も赤く染まっていた。
『クソっ、いつからだ？いつからAは出血してた？』
場合によって最悪の事態になるのではという考えがよぎる。
「おーいマルコ、補水液、作ってきた」
サッチが水差しを持って部屋に入ってくる。
「サッチ！！それどころじゃねェ！！今すぐ止血剤と包帯ありったけ持ってこい！！！」
マルコのただならぬ様子にサッチは水差しを置くと一目散に駆け出していった。
「……マルコ、…」
「頑張れ、A。……飛ぶんじゃねぇぞ」
マルコはサッチが戻ってくるまでAの後頭部を圧迫して止血する。
『意識飛ばすんじゃねぇからな』
サッチが医務室から包帯と止血剤を持って戻ってきた。
「おい、！マルコ！どういうことだよ！？」
「見ての通りだよい！頭から血ィ出てるよい！！」
マルコが止血剤で出血を抑え始める。
『骨まではいってない…………』
どうやら骨まで砕けるような傷の程度ではないことにマルコはほっとする。
「……頭、いたい…………」
Aがサッチの服の裾をギュッと掴む。
「そりゃ痛てぇだろ………打ちどころ悪かったら……」
それ以上はサッチは言わなかった。
打ちどころが悪かったら死んでいた。頭だ。なにがあるか分からない。
マルコは止血したのを確認するとサッチが一緒に持ってきた針を掴む。
「A、傷が開いちまうから縫うよい」
「え、麻酔も無しでか？さすがにそれは……」
サッチがマルコを見やる。
「時間がねぇよい。麻酔効くまで待ってたらAが失血死する。A、頑張れるか？」
「…………すぐに終わらせてね」
マルコは針で傷を縫っていく。その間、Aは声も出さなかった。
「………もう、寝ていい？」
マルコが包帯を巻いているとAが見上げてくる。
「あぁ、寝ていいよい。よく頑張ったな」
マルコが頭を撫でるとAが目を閉じた。
「で？これ、誰にやられたんだよ」
「サッチもそう思うかい？」
「どう見たって誰かに殴られたやつだろ、これ。……しかも鈍器で」
「………後でAに聞いてみるしかないよい。けど…子供を殴るような奴を船にはおいておけねぇよい」
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
