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それから、毎朝七時半ピッタリに送られてくるメッセージを見ないようにした。通知が溜まっていくのに違和感しかなかったが、またあのような醜態を晒すのはごめんだった。

「A、ちょっといいかな」
「…はい」

HRと一時間目の中休み。桐山先生に呼ばれ、教壇に登る。

「進路希望、持ってきた?」
「あ…ごめんなさい、忘れてました」

朝から晩まで、ずっと謎のメッセージのことしか頭になくて、それを忘れようと頑張るくらいしか考えがなかった。

「今日最終締め切りやねん。書くことは決まってる?」
「はい、決まってます。覚えてます」
「じゃあ放課後職員室来て。書いてから帰って」

桐山先生に返事をすれば、快活に笑ってくれるから安心する。今日も朝ごはんを食べる気になれなくてHR中に飴を舐めていたけれど、昼食まで耐えられるだろう。


「あ、A」

後ろからあの声がして、ゾッとした。

「俺も進路希望忘れてもたんよなぁ、放課後ついてっていい?」

歯の多い笑顔。桐山先生と同じ、皆から見たら明るいものだろうけど、今の私から見れば貼り付けられたその笑顔の裏を想像するだけで恐ろしい。

「しげー、一時間目移動教室やで」
「ん、すぐ行くぅ〜じゃまた」

鼻が触れ合うくらいの至近距離で、口角を上げた重岡くん。あっという間に鳥肌が立って、足が竦んだ。




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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時

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