ガラスの靴で息絶えて【夏JW】 (ページ6)

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神山くんでも心当たりがないなんて、尚更不気味だ。それでいてあの太陽のような笑顔を向けてくるから、背筋がゾッとしそうなくらい。

「そいえば、しげからAにって預かってた物があってん」
「え……」

重岡くんからの預かり物だなんて、あまり受け取る気になんてなれない。神山くんがリュックから取り出したのは『自習重岡大毅』と書かれた大学ノートで、一番最後のページ開けてみてと促された。

「明日の朝七時、屋上……」

それだけしか書いてなかったけれど、不安定で書き殴った字はうつろいやすい心を映し出していた。

帰ってきて適当にポテチを食べたあと、すぐに歯磨きをして寝た。早く屋上に行きたいからとかじゃなくて、明日提出の自習の課題があったから。重岡くん困ってるんじゃないかと思って。

いつもより早く目覚ましを掛けたはずなのに、二度寝したせいで朝ごはんを食べる時間もなかった。スマホをスカートのポケットに入れて、急いで家を出た。

草むらに埋まったガラスの靴は、見ないフリした。

しんとした学校は珍しく開いており、私の足は自然と屋上に向かっていた。

「……え」
「あれ、A？」

そこにいたのはコンクリートに寝転がる流星だった。

「どうして流星がいるの」
「いや、それはこっちの台詞っていうか…」

だって、私は重岡くんに呼び出されたはずで、なのに行ってみたら何も知らない流星がいて。

するとまた扉の開く音がした。二人でそちらを見ると、今度は神山くんがいて。

「あれ、しげは？」
「いや、いないけど…神山くんも呼ばれてたの？」
「そうやねん」

ますますこの状況に混乱する中、スマホの通知音が鳴った。

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