ガラスの靴で息絶えて【夏JW】 (ページ3)

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教室まで一緒に行こなんて誘われるのにも慣れてしまった。朝早く来て私を待ち伏せしてるなんて、隠そうともしていなかった。

「そいえばAっていっつも一人で来てるん？」
「うん、そうだよ」
「じゃあさじゃあさ、明日から俺と一緒に来ようや」

屈託のない笑顔を向けられても、私には流星がいる。でも流星とのことを言うわけにはいかない。

「一人が好きだから、いい」

本当は、少しでも一人になったら不安で息絶えそうなくらいだけど。

「へー、意外」

目を細めた重岡くんに本心を見透かされてる気がして、寒気がした。

相変わらず騒がしい教室に入ると、重岡くんは呆気なく私の元から離れる。

「神ちゃん神ちゃん」
「お、しげおはよ。Aも」
「おはよ」

神山くんと重岡くんは高校で知り合ったらしいが、そんなことを感じさせないくらい仲がいい。神山くんと一緒に登校すればいいのに、と毒づく。

神山くんは優しくて誰とでも仲良くできるから、きっと快く受け入れるんだろうな。

流星を一瞥すれば机に突っ伏していて、その様子を女子たちが凝視していた。やはり学校内で流星と関わらない方が良さそうだ。

チャイムが鳴ると、桐山先生が教室に入ってくる。絡んでくる男子を適当にあしらいながら教壇に立つ頃には、皆席に着いていた。

「今日の連絡の前に、皆に確認したいことがあんねんけど」

いつもおおらかで明るい桐山先生の神妙な面持ちに、クラスメイト全員が息を呑んだ。

「隣の空き教室の窓、全部割られてたの皆気づいた？」

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