014 ページ14
.
永遠に来ないでと願っていた放課後は、存外あっという間に訪れた。掃除を早めに終わらせて荷物を取りに来たら、私の机の前で重岡くんが待っていた。
いつからか、重岡くんが朝待ち伏せしてくることはなくなったから、この感覚は久しぶりだった。
「Aは進路どーするん?」
「…大学」
「え、すご!俺はどうしよっかな〜」
今から進路希望を書きに行くのに決めなくていいのかと思いつつ、職員室に入る。
桐山先生の席はお客様用の机の隣だから、そこで進路希望を書くらしい。重岡くんの向かい側にするのは嫌だなと思いつつ、それ以外席がないのだから仕方なく腰掛ける。
覚えていることを書くだけだから簡単だ。大学に進んで、法律のことを学びたい。
「桐山せんせ〜俺進路どうすればいいですかぁ」
「そんなん自分で考えたらええやん」
「だって分かんないんやもん〜なぁなぁ、Aは俺の天職なんやと思う?」
前屈みになるから、上から彼の声が振ってきて思わず字が曲がる。
「……あ、え」
「ははっA動揺しすぎやって〜」
重岡くん特有の笑顔。場を和ませる力があるとか言われてるけれど、不気味なその笑みは不快でしかない。
結局、重岡くんは未定とだけ書いて提出したらしい。私は見ないようにしていたのだけれど、重岡くんが何回も言ってくるから、不本意に知ったという感じだ。
「Aはさぁ今の進路に決めた理由ってあるん?」
今から部活に行くって言うのにいつまでも付いてくる重岡くん。早歩きをしても、彼の方が歩幅が大きいから無意味のようだった。そして。
「…A先輩?」
──最悪の逢着。
.
375人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時