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永遠に来ないでと願っていた放課後は、存外あっという間に訪れた。掃除を早めに終わらせて荷物を取りに来たら、私の机の前で重岡くんが待っていた。

いつからか、重岡くんが朝待ち伏せしてくることはなくなったから、この感覚は久しぶりだった。

「Aは進路どーするん?」
「…大学」
「え、すご!俺はどうしよっかな〜」

今から進路希望を書きに行くのに決めなくていいのかと思いつつ、職員室に入る。


桐山先生の席はお客様用の机の隣だから、そこで進路希望を書くらしい。重岡くんの向かい側にするのは嫌だなと思いつつ、それ以外席がないのだから仕方なく腰掛ける。

覚えていることを書くだけだから簡単だ。大学に進んで、法律のことを学びたい。

「桐山せんせ〜俺進路どうすればいいですかぁ」
「そんなん自分で考えたらええやん」
「だって分かんないんやもん〜なぁなぁ、Aは俺の天職なんやと思う?」

前屈みになるから、上から彼の声が振ってきて思わず字が曲がる。

「……あ、え」
「ははっA動揺しすぎやって〜」

重岡くん特有の笑顔。場を和ませる力があるとか言われてるけれど、不気味なその笑みは不快でしかない。


結局、重岡くんは未定とだけ書いて提出したらしい。私は見ないようにしていたのだけれど、重岡くんが何回も言ってくるから、不本意に知ったという感じだ。

「Aはさぁ今の進路に決めた理由ってあるん?」

今から部活に行くって言うのにいつまでも付いてくる重岡くん。早歩きをしても、彼の方が歩幅が大きいから無意味のようだった。そして。


「…A先輩?」

──最悪の逢着。





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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時

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