ブ ページ11
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入院100日目。
ついに入院日数が3桁になってしまった。
相変わらず抗がん剤治療は続いているけれど、良くなる気配が全くない。
寧ろ治療を始めた時よりも悪化しているような気がする。
本当に私はこの病気が治るのだろうかと、ふと思ってしまう。
体調が良い時は散歩を兼ねてデイルームに通っていたけれど、今では歩く気力も奪われてほとんどベッドで横になってばかりだ。
もしかして癌が進行しているのではないかと、不安に駆られてしまう。
いつもの点滴が終わると私はナースコールを鳴らし、病室に来てくれた看護師さんが点滴針を抜いてくれた。
「先生からお話があるみたいなので、診察室に行きましょう」と看護師さんが言うので、診察室に連れられた。
診察室に入ると、そこで待っていた主治医の先生は以前に病名を告げられた時よりも更に深刻そうな顔をしていた。
「先生、お話ってなんでしょうか？」
先生にそう尋ねると、先生は「宮本さんの病状ですが…」と物凄く歯切れの悪そうな言い方で話を切り出した。
「末期ですね、抗がん剤での治療はもう難しいです…」
先生は物凄く残念そうな顔をしている。
「…あと私は、どれぐらいなんですか？どれぐらい生きる事が出来るんですか？」
「長くて3ヶ月ぐらいかと」と、先生が淡々と答えた。
あ、私はもう駄目なんだと悟ってしまった。
診察室から出て重い足取りで病室に戻ると、病室には鬱くんが待っていた。そういえば鬱くんに荷物を持ってくるようにお願いした事を思い出した。
ut「Aちゃん病室におらんかったから、びっくりしたわぁ」
「ごめんね、鬱くん。先生に呼ばれて話をしてたんだ」
ut「先生は何て言ってたん？」
「治療は継続だって、まだ入院が続きそうなんだ」
「そっかぁ、早く元気になって色んな所遊びに行こうな」
「うん、鬱くんの奢りで快気祝いで美味しいものでも食べに行こう」
「僕の奢りかい！」と、鬱くんは言う。
「冗談だよ」
ut「冗談かぁ。…ってそろそろ動画の撮影の時間やから帰るわ。ごめんなぁ」
「ありがとう、気をつけてね」
動画の撮影の時間が迫っているので、鬱くんは慌てて帰っていく。
1人になると、色々気を張っていたのか疲れが一気に押し寄せてきて私はベッドに横になった。
鬱くんともうすぐお別れかもしれないと思うと、涙が止まらなかった。
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