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ごめんな、って聞こえるか聞こえないかのちいさな声でそう言って額に手のひらを当てた龍友くんの肩は微かに上下していて、泣いてるんだってわかった。
あの、龍友くんが。
誰かを思い出して、悔やんで、苦しくて、泣いている。
その姿にここにいる誰もが苦しくなった。
数原「もしあの時俺があの時あんなこと言わんかったらあの子は、Aちゃんは死んだりせんかった、少なくとも涼太達から離れたりはせんかったよ」
玲於がその言葉に泣き出して、しゃがみ込んだ。
数原「それに、年上に、ましてや初対面の相手に上から言われたらそうするしかないやんな、精一杯の強がりやって、なんで気づかんかったやろうって。」
嗚咽が、溢れて、抑えられなくて、過呼吸みたいになる玲於の呼吸につられそうになる。
数原「ただメンバーのためと思って行動したらこんなんなってあの子が死んだんは俺のせいなんや。ごめん……あやまってもあの子が帰ってこれないのはわかってる。せやけど、」
ごめんな、ごめん、ほんまに、ごめん。って小さく謝る龍友くんに、涙が止まんなくなった。
数原「本当にごめん……」
隼がたまらず龍友くんに駆け寄って抱き締めて、一緒に泣いてる。
玲於が、それを見て悲しそうに、寂しそうに笑って、亜嵐くんに歩み寄った。
佐野「家族を選ぶか、涼太くんを選ぶか聞いたあの時あいつは絶対に涼太くんを選ぶと思ってた。だからKOTONEに話しかけられたの見てたAに前もって嘘ついてた」
目を閉じて、その時を思い出すかのように言葉を紡いで深呼吸をする玲於。
佐野「でも、Aは2番目でもいいって、片寄さんに会いたいって泣いてたんだよ。
悔しかった……俺だってあいつに愛されたかった!!!!
涼太くんが羨ましくて仕方なかった。他にもう何もいらないから、あいつだけが、Aだけが欲しいとすら思った」
閉じた目から涙が溢れて、開いた目は真紅に染っていた。
白濱「……だから、なんだよ、」
佐野「だから!!!!亜嵐くんには俺らみたいな気持ちを味わって欲しくないんだよ!!!!」
白濱「るっせぇよ!!!」
自分の上に乗っていた涼太くんを押し退けて叫んだ亜嵐くんに、思わずため息が出た。
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莉央奈(プロフ) - 内容が残酷で深くてすごく面白かったです! (2019年2月23日 12時) (レス) id: 454ae124db (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - 完結おめでとうございます!ラベンさんの作品めっちゃ好きで、このシリーズも最初から読んでました!!!完結したらちょっとさみしいけどずっと応援してます!! (2019年2月19日 19時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - このシリーズはじめから読んでてほんとに内容が深くて毎回更新楽しみにしてました、!今回の話がバッドエンドで、自分もバッドエンドの話がけっこうスキなので、余計に更新が待ち遠しいです、、、 (2018年12月22日 14時) (レス) id: c161f68fab (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる(プロフ) - コメント失礼します、音子ちゃんはなんのお話に出てくる方ですか?? (2018年9月8日 15時) (レス) id: f7363ed3ba (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新待ってました。お話頑張って下さい (2018年9月8日 13時) (レス) id: 39b5516bcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年6月28日 18時