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周辺を探してみるが、一向に見つからない。盗まれたか、誰かが交番へ届けてくれたかの二択となった。
明らかにしょげた様子の岸くんとは裏腹に、ないな〜といつもの調子で探し続けている紫耀。ここの温度差がかなり激しい。
『交番にあるんとちゃう?一回行ってみよ!』
紫耀のこの発言で、三人揃って交番へ行くことに。案の定、財布は交番に届けられていて、岸くんはこれでもかと言うくらい頭を下げてお礼をしていた。
岸くん、今日初めてまともに話したけど、意外といい人で純粋だった。この辺は紫耀に似た者を感じる。類は友を呼ぶというのはこういうことかと、一人で納得する。
「二人とも、ほんっとにありがとう!マジで助かった!」
『いやぁ〜そんなアイスなんて奢ってくれなくてもいいよ〜』
いやお前ちゃんと耳ついてんのか。岸くんアイス奢るとか一言も言ってないだろうに。
「紫耀、馬鹿なこと言ってないでもう行くよ」
「あ、待って待って!アイスくらいなら俺奢るよ!」
「え、でも……」
『まぁまぁ、ここはお言葉に甘えてさ〜』
半強制的に決まったような気もするが、そこにはあえて触れないことにした。岸くんは先程のスーパーに戻り、棒アイスを二つ買ってきてくれた。
わざわざ買ってくれなくてもよかったのに。そう思いながら岸くんに頭を下げる。この数十分間で、彼が本当にいい人だと言うことが証明された。
ご馳走になったアイスもなくなり、再びお礼を言って立ち去ろうとした。しかし、岸くんに呼び止められて、連絡先を交換したいとの申し出を受けた。
『Aの連絡先持っててええんは俺だけやのに……』
「いつからそんなルールが……あ、交換できた。ありがとね、岸くん」
「おう!じゃ、また学校で!」
眩しいくらいの笑顔でヒラヒラと手を振って立ち去っていく岸くん。一方の紫耀は、またもやむすっとした顔を浮かべていた。
また面倒くさいことになるのは避けたかったため、仕方なく手を握ってあげた。その時の紫耀といったら、効果音が付きそうなほどの笑みを浮かべて強く私の手を握り返してきた。
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も。(プロフ) - みるくプリンさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。面白いと感じていただけたようでよかったです。自分の想像力をフル回転させながらお話を練った甲斐があります(笑)是非これを機に少しでもキンプリを知っていただけたら(笑)コメントありがとうございました! (2019年8月22日 11時) (レス) id: 677285a89c (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!面白くて一気読みしました。実はキンプリ詳しくないんですが、めっちゃキュンとしました。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月22日 6時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2019年8月15日 5時