十一話 ページ11
「…あはは、スマイル様どなたとお間違いをなされているのですか？」
ぎこちなくそうスマイルに聞くも、ぶるーくは綺麗な瞳で私を見て離さない。
スマイルも珍しくポーカーフェイスを崩して少し焦った顔をしていたが、段々といつも通りの顔へと戻っていった。
私は顔でどうするの、と問いかけるもスマイルは無視。というか、ポケットの中にある懐中時計を見てボツボツなんかを呟いている。
「…10…9.8.7.6.5.4.3.2.1」
「0」
数字を呟いていたスマイルが0、と言うと同時にぶるーくが倒れる。…ん？ぶるーくが倒れる？
「ちょ、ちょっと、ぶるーく！スマイルなんで助けないの…ってこれ聞こえてないんだっけ！？ああ、本当に早く聴覚戻しなさいよ…！」
最初は慌てる私を見てぽかんとしていたスマイルだが、段々と私が何で慌てているのか察したのかぶるーくを起こそうとする私の手を止めた。
「ぶるーくは魔法が暴走した後は必ず倒れるんだよ。キャパオーバーってやつ。だからそんな慌てんなよ、生きてるから。」
それを先に言え。
そう思い、口に出そうとしたが心に留めておこう。今のスマイルには何を言っても聞こえない。
「とりあえず、俺はぶるーくを医務室に連れてく。Aは…そーだな、ぶるーくに襲われたけどたまたま俺に助けられたという事にしよう。そろそろメイド長も来る頃だ。丁度いい。」
そう言ってぶるーくを引き摺って連れて行こうとしているスマイルを引き止める。そして胸ポケットに入れて置いたメモとペンを取りだし、文字を綴る。
〈倒れている子達はどうするの〉
「倒れてる…？あー、放置しとけ。幹部の暴走で人が死ぬのなんてざらにある事だ」
〈国のトップは国民を救うものよ。〉
「…どーやってやるんだ」
〈私の能力で浮遊させてスマイルが先導してそれになぞって連れていけばいいわ。追尾させて目標の場所まで行ったら解除なんて簡単よ。〉
「見つかったらどうする」
〈見つからないように天井にピッタリとくっつかせて浮かせましょう。幹部なら部下は目が会わないように下を向くはずよ。〉
「…わかった。医務室へ纏めて運ぶ。兵士に運び方を聞いてくるやつはいないから大丈夫だろう。じゃあまた今度、A」
私は急いで倒れている女の子たち全員の重力を変える。そして纏めて天井に浮かし、それをスマイルに付けた。
スマイルはそれを確認すると広間から出ていった。
メイド長が来たのはそのすぐあとだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒灰白有無％(プロフ) - やっぱり面白くて大好きです！約2年前から読ませていただいていて其れから今迄少なくとも20周はしてるほど大好きで、消失系の小説で幼馴染設定はあまり見たことがないので嬉しい?です！！気が向いたらでいいのでまた更新をまってます！これからも応援しております！！ (8月6日 0時) (
レス) @page35 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
愛流 - ストーリーが全然飽きないしすごい面白いです！！更新ゆっくりでいいので待ってます！頑張ってくださいっ！ (2022年8月2日 15時) (レス) @page35 id: f100bc9df8 (このIDを非表示/違反報告)
柿 - っあ〜面白すぎる…更新頑張って下さいね! (2022年7月30日 0時) (レス) id: 02b490d08e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - つゆさん» こんにちは、コメントありがとうございます…！更新頑張っていきます…！応援メッセージありがとうございました！ (2021年10月11日 15時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
つゆ - とっても面白いです、、！五感消失クラフト大好きなので、もぅ、、神ですね！これからの展開が気になる…更新頑張ってください。応援してます！！ (2021年9月22日 23時) (レス) @page34 id: 5d979c15e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾄｸﾆﾍﾞﾂﾆﾅﾆﾓﾅｲﾖ | 作成日時：2021年9月14日 13時
