【募集企画】秘密の孤児院【本編】 (ページ25)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:11,785 hit

修羅場【リーセ】ページ25

，

何が何をしてこうなったのか。自分の名前を呼ばれたと思い、顔を覗かせた先には露骨に顔を
背けるサラとトキマの背中に隠れ、瞳から雫を垂れ流すメシアの姿があった。流石に状況が
飲み込めず、私は端でメシアを非難しているヤマトの肩を叩いた。ヤマトは英語が苦手だ、
私は日本語の単語を不器用にも繋げる。

「ヤマト、アー…何ガ…あったノ…？」

私は早朝、優雅にココアを飲み、皆と共に朝食を完食し、そして全ての教科は日本語を
習わないと学習が出来ない為、英語の出来るサラやミウに手伝って貰いながら日本語を
学習し終え、サラが怒りメシアを連れて来るように私に命じた事以外、現在までは
平穏であった筈なのだ。そう回想しながら、私はヤマトの言葉を待つ。

「ん？リーセ、居なかったっけ？…まー良いぜ！教えるとー…」

それからヤマトは、時折英単語を混ぜながら日本語で説明してくれた。どうやらメシアが
サラのコンプレックスを言い、それに怒ったサラがメシアを「嫌い」だと言ったという。
それにメシアが傷付いて、現在に至るらしい。他にもサラのコンプレックスを言った
メシアをミウとヤマトが非難した等、細かな説明があったが現在の日本語力ではそれを
脳内で翻訳するのが限界だった。

「あれー？メシア、泣いてるの？」

サラが挑発的にそう言い放つ。笑顔と相まって、皮肉にすら感じられた。私はこの場から
逃走したい心情を抑え、ほろほろと涙を零すメシアを保護者のように見守った。