【募集企画】秘密の孤児院【本編】 (ページ18)

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床が濡れてる【青磁】ページ18

私は、定規を忘れたことを思い出して部屋に取りに行く。

借りればいいのかもしれないけれど、今日やるのは理科のグラフ書きだ。

温度とかを書き写さなければならくて、とても定規を使う作業だ。

借りたまま借りっぱなしになるのはさすがにまずい。

机の上のペン立てから定規だけを抜き取り、また図書室へ向かう。

途中で少し開いたドアの隙間から、

ゲームをしていた大和くん達を見つけた。

本当に仲いいよね、あの二人。

「あ、」

思わず声がでてしまった。

「床が濡れてる」

何故かしっとり湿っている床。

誰かが何かをこぼしたのだろうか。

「まあ、あとでこぼした人が紗良姉さんに怒られて嫌々拭くよね」

本当は面倒なだけだが。

そう理由づけをし、そこを後にする。

図書室の入り口についた。

勉強スペースは図書室の一番奥。

結構距離がある。

早く行かないと…。

――バチン！！

その音とともに、あたりが暗くなる。

「え？」

まさか…ブレーカー？落ちた？

大和くん達がゲームしてたよね…？

まさか、紗良姉さんが電子レンジでも使ったとか？！

え、っていうかブレーカーってどこだったっけ？

普段あまり使わないので覚えていない。

過去の自分を呪ってやりたい。

覚えておけばよかったのに…。

今日はあいにくの曇りで日差しはない。

図書室中真っ暗だ。

そんなとき。

――キィ…。

横から音がする。

ここの隣は確か――…書庫。

「あら、セージ」

「蘇芳さん…！」

思った通り。蘇芳さんが出てきた。

蘇芳さんは蝋燭を持っている。

少し、周りが明るくなった。

「セージ、多分ブレーカーが落ちたのだと思いますけれど、どこにありますの？

　わたくし、位置を把握していませんの。

　…電灯をつけませんと、書庫で蝋燭だけで本を読むのは無理な話ですわ」

ああ、終わった。

ブレーカーの位置が分からないので、他の誰かにまかせるしかない。

とりあえず、この場で待機だ。