【募集企画】秘密の孤児院【本編】

覚えてない【青磁】 ページ11

朝。私は布団の中にくるまっていた。
私の活動時間は、日が昇って気温が暖かくなる9時くらいからだ。
正直、その時間まで目が覚めない。
「ふわああぁぁ…」
大きな欠伸を1つ。
自ら布団を出て、いつものはんてんを羽織る。
基本的に起きるのは私が最後だ。
みんながいるであろう図書室へと向かう。
その途中、紗良姉さんと会った。
「あ、青磁」
「紗良姉さん、おはよう」
「全然早くないと思うよ？」
紗良姉さんは、そう言って困ったような顔をする。
「まったく。最初に起こしに行ってるのに起きてくるのが一番遅いなんて」
「え、起こした？いつ？」
私は首をかしげた。
起こされた記憶なんて欠片もない。
「プッ…相変わらずの忘れっぷりね」
聞いてみると、私は「あと五分…」を15回ほど繰り返したらしい。
5×15＝75だから、75分。
実際のところは10分おきに起こしに来ていたそうなので、それを考えると150分だね。
つまり、2時間半。
(…私、かなりヤバい…紗良姉さんにも迷惑かけてるし…)
はあ、とため息を吐きつつ、紗良姉さんに一言。
「図書室にいるね。朝御飯いらないから」
そういうと、
「勉強？髪鬱陶しいでしょ？結んであげる、おいで」
と言われた。
やっぱり紗良姉さんは優しい。
「ありがとう」

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