ひとりじゃない証-No.4- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

19話 ページ42

資産家の令嬢だった綾子さんは取り巻きの連中を使って、紫乃さんをいじめていたらしい。
病気の悪口の母を言った時、紫乃さんはたまりかねて綾子さんを叩いてしまった。
綾子さんに出て行ってと言われた紫乃さんは、その通りになった。
母が亡くなり、紫乃さんは高校をやめて働きにでるようになったのだ。
街に出た紫乃さんは寂しさから近づいてきた優しそうな男に身を任せてしまい、子供を身ごもった。
だけど紫乃さんが妊娠したとわかると男は姿を消した。
そこで、検診に向かった紫乃さんは綾子さんと再会したのだ。
巽家に嫁いで何不自由なく暮らす綾子さんと一人ぼっちの紫乃さん。
生まれてくる子もきっと。
子供を抱えて生きていく自信がなかった紫乃さんは子供を残して姿を消そうとまで考えていたらしい。
その時、紫乃さんの耳に恐ろしい悪魔の囁きが聞こえてきた。
綾子さんの子供と自分の子供を取り換えたのだ。



紫乃「もう二度と会えなくてもいい……この子だけには、わたしと同じ苦しみを…でも、大きくなった龍之介を一目見たくて、とうとう我慢できずに」



紫乃さんは巽家の使用人としてこの家に来たのだ。



剣持「18年間も我が子として育てた征丸君は、あなた、征丸君を手にかけて何とも思わなかったのかね」


紫乃「ええ……何とも」



震える声の紫乃さんにあたしは何とも言えなくて、目を細めた。



剣持「しかし、どうして猿彦はそこまでの協力を」


一「紫乃さん、龍之介さんの本当の父親は猿彦ですね」



はじめちゃんの言葉に紫乃さんが黙って俯いたその時、警部が思い出したように「あ!」と声を上げた。
そして静かにその場に座り込んでしまう。



紫乃「あの男はわたしが巽家の後妻になったことを聞きつけてお金をせびりにやってきたんです。わたしはあの男を利用して、散々利用し尽して」



一緒に死のうと持ち掛けて、猿彦に鉛のつまった猟銃を手渡し、紫乃さんは猿彦を自 殺に見せかけたのだ。



一「これで柊兼春の子孫、首狩り武者が完成する」


紫乃「剣持さん……わたし、酷い女でしょう？あなたに来てもらったのも、警部であるあなたを利用しようとした」


剣持「紫乃さん…あなたはそんな人じゃ…」



警部の言葉を聞きながら美雪がそっとあたしとはじめちゃんの傍へと寄って来た。
そしてあたしに寄り添う。



紫乃「あなたの知ってる紫乃は、もう思い出の中にしかいないの。ここにいるのは、紫乃という女の皮を被った醜い獣なのよ」

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