24話 ページ7
だけど、必死に訴えるはじめちゃんに対して、目の前の男は笑みを浮かべた。
神崎「…ああ、知ってたさ。……馬鹿な女さ。騙されてるとも知らずに…本気で俺を愛してたんだからな……本気で…命がけで…こんなろくでもない男をよ」
皮肉気に笑う神崎の眼からは一筋の涙が零れていて。
あたしたちは何とも言えない気持ちでそれを見つめた。
神崎は涙を流しながら顔を兜さんに向けた。
それを受けた兜さんが「誰か!あいつを捕まえてくれ!」と神崎を指差しながら扉の後ろに隠れた。
神崎は銃を構える。
神崎「うわあああああああ!!」
雰囲気に呑まれてしまい、止めることなんてできなくて。
あたしたちが口を開いた時にはもうバァンッと銃声の音が響いていた。
だが、倒れたのは胸と口から血を吐き出した神崎で。
思わずあたしたちは息を呑んだ。
そして銃声の聞こえた方に顔を向けると、そこには銃口から煙を出しながら此方を見ていた風祭さんがいた。
神崎を撃ったのは…風祭さんだったのだ。
風祭さんは銃を持ちながらこっちに歩いて来た。
風祭「許せ…っ息子よ!」
息子!?
風祭「私と詩織は…将来を約束しあった中だっ」
よろよろと神崎に近寄っていく。
風祭「…もしっ、2人の間に子供が生まれたら…竜一と名付けようと…2人で…幸せな家庭を築こうと…っ」
風祭さんは血を流して倒れている神崎の傍に膝をつくと、涙を流しながら彼の頬を撫でた。
風祭「約束…しあってたのに…っ」
神崎「ぁ…っ…そんな…嘘だろ…!?」
最後の力でそう呟くと神崎はそのまま、目を閉じた。
完全に意識のなくなった神崎の体に「竜一…!」と泣きながらしがみつく風祭さん。
あたしたちはその姿に何も言えずにただじっと彼らを見つめていた。
剣持「終わったな…。なにもかも…」
風祭「いや…終わってませんよ…。やっと…長い…長い苦しみから…解放されるんだ…っ」
起き上がった風祭さんはみんなに微笑むと、銃口を自分の口の中に入れた。
一「風祭さん…!」
『ダメ…っ!』
あたしたちの制止の声は遅く、風祭さんはそのまま引き金を引く。
パァンッと音が響いて、彼は自分の息子の上に折り重なるように倒れ込んだ。
『うそ…っ』
一「うわ……うわああああ!!!」
はじめちゃんは叫びながら彼らの隣に倒れた。
あたしと美雪が急いではじめちゃんに駆け寄る。
『はじめちゃん!!』
美雪「はじめちゃんっ!」
警部たちが急いで救急車を呼んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (
レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2019年8月6日 1時
