第22話 ページ24
「あーあ、治っちゃった」
「残念そうだな、姫さん」
「別に」
「私は残念です」
石垣に腰掛けたハク、A、ヨナ、カナ、スウォン。
スウォンが空を見上げながらそう言うとカナがスウォンの方へと身を乗り出しながら口を開いた。
「姫さんの隣で寝られないから？」
「ヨナの隣はいつでも寝れますけど」
「えっ…」
からかったつもりでそう言ったのに思わぬ反応が返ってきて思わずカナは口を引き攣らせた。
「私はずっとずーっとあのまま3人で風邪ひいて5人で寝てたかったです」
「別に…風邪ひいてなくても簡単だろ。一緒にいることくらい」
「そうね」
ハクとカナの言葉に間にいたヨナとAが笑みを浮べて空を見上げた。
「スウォン」
『ハク』
「「『明日も遊びに来てね』」」
―――ずっとずっと遊びに来てね。
あれ……？
誰もいない―――
『…あ、父上!父上…』
笑顔で見る先にいたのはイル。
だがその影はユラ…と揺れると血まみれになりながらドサとAの前で倒れた。
それに目を見開いて見上げた先には。
―――ス…ウォン…？―――
ハッと目を覚ましたAは辺りを見回した。
自分の隣で木に寄りかかって眠っているヨナ以外誰もいない。
傍にいたはずのハクとカナの姿がどこにもないのだ。
まさか…と震える体を押さえながら立ち上がって辺りを見回していると後ろの茂みがガサッと動いた。
振り返って見えた先には。
「起きてましたか」
「すみません。飲み水を汲みに行ったんで…」
カナとハクの姿を目にした途端、Aは顔を歪めて目から涙をポロポロと流した。
地面に座り込んで、ヨナを起こさないように顔を両手で覆いながら泣く。
もう
5人で見上げたあの空は
どこにもない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました！面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい！ (2018年7月21日 23時) (
レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました！更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月6日 17時
