第47話 ページ49
―――くっそ、片手でハクを支えてるから、あたしとハクの体重で槍が持ちそうにない。このまま槍が折れたりしたらあたしとハクは崖下に落ちる。どうする!?―――
カナがそう考えている間に一人の兵が槍を摑むカナの手に刀を刺そうと振り上げた時。
『離れて!!』
そう声が聞こえて振り返ると、テジュンから奪った刀を持ったAが兵たちを睨みつけていた。
『ハクとカナから、離れなさい!!』
「姫…」
「姫様…!」
カナの呼び声にハクもAを見る。
『離れなさい!!』
Aは一気に兵に近づくとその刀を振り上げて素早く横に薙いだ。
だが、矢しかやったことがないAの剣術は素人そのもので、兵は軽々とそれを避ける。
「姫様は大人しく…」
「よせ。姫を傷つけるな!」
「しかし…」
テジュンの言葉に返そうと兵がAを見た時、その目を見開いた。
刀を構えて唯々真っ直ぐに兵を睨みつけるA。
その姿に兵はいつの間にか冷や汗を流していた。
―――これが、A姫…!?―――
「…姫さん」
ハクの声にAはすぐに後ろを振り返り槍にぶら下がるカナとハクを見下ろした。
『ハク!カナ!今助けるから』
そう言って槍を摑んでいるカナの手を摑んで引っ張り上げようと力を入れる。
『くうっ』
「馬鹿野郎…逃げろ。あんたには無理だ」
「ヨナ姫を連れて早く遠くへ…」
『やだ!絶対』
そう言ったAにハクとカナは目を見開いた。
『ハク、カナ、死んだら許さない…!!』
「「!!」」
Aの目から零れる涙がハクとカナの顔に降り注ぐ。
するとAと同じように崖を滑り下りてきたテジュンが兵に指示をした。
「何をしている。ハクとカナから姫を引き離せ!!」
そう指示をするテジュンに2人の兵がA達を引き剥がそうと駆け寄ってきた。
それに気づいたAが後ろを振り返ったとたん、力を込めていた手が緩んでしまいガクッとハクとカナの体が下へと落ちる。
それと同時にAの体が崖へと放り投げられた。
「姉様!!」
『ヨナ!!』
兵たちの間を潜り抜けてきたヨナがAの腕を摑んだが、3人分の体重を支えられるわけがなく、テジュンが伸ばした手がヨナの服を摑むこともなく4人は崖下へと落ちて行った。
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「むかぁしむかし、あかいろのーーー
おおきなたいようたべられてー
せかいがくろにそまるときー…
……
…めんどくさ。人が死んでる」
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時