秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

41・宙ぶらりん ページ41

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頭を鈍器で殴られたらこんな感じなのかな、
‥殴られた事ないけど。
指先がひんやりして、感覚がなかった。


嘘だ、と思いながらもう一度目を通す。

そこで初めて
《極秘資料にて他者の閲覧・譲渡を禁ず》
と書いてあることに気づいた。


(やば、‥‥)


これ触っちゃダメなやつだったんだ、先に言っといてよ夏油さん。見ちゃったじゃないか‥







見てはいけない物を見てしまった罪悪感と
知ってしまった衝撃の内容



ことの重大さをじわじわと実感してきて
全力疾走した後のような動悸がして
紙を持つ指先が震えた



どれだけ立ち尽くしていただろう。

私はその紙をあった場所に戻し、自分のデスクで残った仕事を片付けた。






夕方、夏油さんが帰って来た。
その顔には案の定、疲労が色濃く出ていて


「夏油さん、お疲れ様です。これどうぞ」


きっと疲れて帰ってくるであろう彼の為に
いつかのカフェに行き、買ってきた珈琲を差し出すとふわりと微笑んでくれた


『ありがとう、流石わたしの秘書さん』


　(‥今は、ね)


「ふふ、どういたしまして。夏油さんの事ならなんでもお見通しですから」

『そりゃありがたいな。これからも頼むよ』


　(もうすぐ用済みなんでしょ？)


「それは夏油さん次第ですかね〜」

『ははっ、わたしはずっと君に首輪をつけて側に置きたいって言ってるだろ？』


　(‥嘘ばっか)



いつになったら飼われる気になってくれんだろうね、と笑いながら珈琲に口をつける彼





(なってますよ、とっくに‥)





卑屈な言葉ばかりが頭を埋め尽くす。
今の私、酷く醜い顔をしてないかな。

さっきの書類を雑にまとめて引き出しに突っ込む彼を横目に映す。






夏油さん、



私ちゃんと初めて聞いたフリするからさ、









話してよ、あなたの口から_____






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