【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ29)

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29話ページ29

「ウルフレジェンド!!うおああああっ!!!」

「グレートバリアリーフ!!」

手を振り翳(かざ)したジーンが叫ぶのは彼らの母国が有する世界最大の珊瑚礁地帯の名。その名に違わぬ雄大な海の水圧と珊瑚礁がゴールを阻み、吹雪のシュートがゴールネットを揺らすことはなかった。

『真、アクアトルネード!!』

「グレートバリアリーフ!!」

ジーンからシャインに渡る寸前に、上がってきていた水城がパス経路に割り込みボールを奪う。そして打ち込んだアクアトルネードも、グレートバリアリーフによって止められてしまった。ボックスロックディフェンスを攻略したと思えば次はグレートバリアリーフである。こればかりは戦略も何も関係ない、純粋な力比べだ。

「水と水は相性が悪い。止めるのは容易いよ」

『…!』

すれ違いざまに言われ、思わず足を止め振り返ってニースを見た。水城を見下ろし目を細め口元に微笑を浮かべたそのとき、ドリブルで上がっていたデビットがボールを外に出す。それはミスキックではなく、ビッグウェイブス側の選手交代のためだった。

「グレイブ…スト──ン!!」

「うあああっ!?!?」

ミッドフィルダーとディフェンダーが新たに投入され試合再開。緑川がドリブルで上がっていくと、立ち塞がったのは先程交代で入ってきたダニエルただ一人。もうボックスロックディフェンスを発動しないのだと油断した緑川は、地面から突き出てきた岩によって空中に放り出されボールを奪われてしまった。

「これが世界か…!」

必殺タクティクスが通用しなければすぐに個人技に切り替える。体力、スピード、テクニック、そして戦術の切り替えの早さに驚嘆するイナズマジャパン。円堂は奮い立てられたようにぐっと拳を作り、口角を上げた。

「カンガルー…キック!!」

「うわあっ!?」

ダニエルからホリーへボールが渡った直後必殺技を繰り出される。名前のとおりカンガルーのように跳ねて蹴ったボールは木暮に直撃し、そのまま吹き飛ばした。「海だけじゃなかったの…!?」春奈が思わず声を上げる。どうやら、リザーブとして陸で鍛えた選手が控えていたようだ。

「ぐああっ!?」

互いに攻め合い試合は膠着(こうちゃく)状態。しかし点数は0-1とビッグウェイブスがリードしており、前半で追い付いておかなければ、と焦燥に駆られるイナズマジャパン。そんな中サーフのスライディングが鬼道の足を襲い、倒れ込んだことでファール判定が下された。