1話 ページ1
「…円堂守」
「お前は…!」
いつぞやの夢に出てきた少年が、再び円堂の前に姿を現す。少年が濃緑色の軍服に身を包み、辺りが見渡す限りの濃霧。そして円堂と彼以外に誰もいないのが、前回との違う点だった。
「なあ教えてくれ、お前は一体誰なんだ?それに曾祖母って…ひいばあちゃんって誰なんだよ?なんで俺にひいばあちゃんのことを頼むんだ?」
「…ああ、そういえばこの次元の円堂守は俺を知らないのか。うっかりしていた」
「え?」
円堂の言葉に彼は考える素振りを見せ、そして気付いたように顔を上げ言った。この次元?円堂は首を傾げる。
「まあ、別に俺の名は知ったところで何もない。よって省略させてもらおう」
「えええ…」
がっくりと肩を落とした円堂を眉尻を下げながら微笑み見る彼は、誰かに似ている気がした。彼の顔をじっと見つめ円堂は考えるも、夢だからなのか、思考回路が上手く回らない。
「俺の曾祖母の名は_____」
「守────っ!!!」
「えええええええええっ!?!?」
母、温子の声がちょうど良い(良くない)ところで彼の言葉を遮った。このタイミング!?円堂は思わず叫び勢いよく体を起こす。忙しなく頭を動かし周りを見れば自分の部屋で、当然彼の姿もなかった。
「今日は響木監督に呼ばれてるんでしょー!?遅れたら怒られるわよ!!」
「!そうだった!!しまったあ───っ!!!」
続けて言われた言葉に円堂の頭は一気に覚醒する。今は呑気に彼のことを考えている場合ではない。円堂は布団を押し退け、バタバタと一階に降りていった。
エイリア学園騒動が収まって3か月。物語の歯車が今、再び回りだした。
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作者名:不二市 | 作成日時:2018年7月6日 15時