【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ8)

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153話ページ8

「審判、私とフォワードのゼルをポジションチェンジだ」

その言葉に雷門イレブンに動揺が走った。ゴールキーパーとフォワードでポジションチェンジ。ルール的にはなんの問題もないが、実際に行われることは滅多にない。そう鬼道が言っている間に、デザームとゼルは胸のボタンのような部分を押して一瞬でユニフォームを入れ替える。どういう仕組みだろうか。

「デザームがフォワードに…」

「奴らがいない今、興味はお前だ」

「俺…?」

「宣言する!正義の鉄拳を破るのは、この私だ!!」

奴らとは、今はベンチに下がっている吹雪と水城のことだろう。デザームは円堂の前に立ち言い放った。あまりにも自信ありげな態度に雷門イレブンは言葉を失う。

「っ!?」

「ぐああっ!」

試合再開。あの態度に相応しいプレーのデザーム。目にも見えぬ速さで鬼道からボールを奪い、颯爽とディフェンス陣を突破していく。

「覚悟はいいか!!」

「こいっ!!」

あっという間に雷門側に残るのは円堂だけになってしまう。「嫌な予感がする…。円堂さん…!」威勢よく構える円堂を見て立向居が呟いた。

「グングニル!!」

「うおおおお…!正義の、鉄拳!!」

ボールを右足で踏みつけ立ったと思えば足元に異空間へ繋がる穴が開きそこに潜っていくデザーム。5秒もしないうちに再び異空間の穴が開き、そこから凄まじい威力のシュートが飛び出してきた。

それに正義の鉄拳で迎え打つ円堂。押し負けそうになるが、究極奥義なのだと、祖父の技が負けるはずがないのだと精一杯腕を伸ばした。だがしかし、それも虚しく円堂の脇をすり抜けて勢いよくゴールに入ってしまった。1点を守るという決意と究極奥義、その両方が砕け散る。

「そ、んな…」

「正義の鉄拳が…」

「あの胸騒ぎはこれだったんだ…!」

雷門イレブンが愕然とする。そしてそんな中、不敵に笑うデザームが言い放った。

「言い忘れていたが、私の本来のポジションはゴールキーパーではない。フォワードだ」

ここでホイッスルが鳴る。1-1で前半終了。負けていないだけまだ良かったが、前半得点した水城がおらず、正義の鉄拳を破ったデザームがいる。後半、どう攻めていけば良いのだろうか。